待望の「ヒット商品」を出したのに”経営危機”に陥る企業の落とし穴 「うちはこの商品で、当面は食べていける」「俺は成功した」はNG!
そこで、ヒット商品が生まれたら、その商品の寿命を設定します。それも、通常の想定よりできるだけ短く設定することです。例えば、市場調査で、あと5年くらいは売れ続けるだろうという結果になったら、寿命を「3年」と設定するのです。そして、その3年間は無駄を省いて利益を最大化して、できるだけ累積利益剰余金を積み重ねます。
その一方で、設定した寿命のうちに、できるだけ早くに次のヒット商品を出せるような社内体制を作ります。ヒット商品を担当する部門とは別に、新業態や新商品を開発する部門を設けて、開発や新規取引先開拓を続けるのです。
こうして、ヒット商品が売れている間に、会社の足元を固め、変化に耐えられる体力を強化しておけば、いずれ次のヒット商品を生み出せるはずです。
模倣自体は恥ずかしいことではない
ヒット商品を開発するために、他社の商品を参考にし、ときには模倣することもあるでしょう。模倣はいけないことかというと、そんなことはありません。
古今東西、優れた学問、芸術、文化、そして経営の多くが模倣からはじまっています。
先人の作り出した知見の本質を見抜いて模倣し、そこに少しだけ新しいものを付け加えた人が、偉大な学者、芸術家、経営者となったのです。
18世紀フランスの哲学者・文学者のヴォルテールは、「独創性とは、思慮深い模倣にすぎない」と述べていますし、スペインの画家サルバドール・ダリは「何も真似したくないなんていっている人間は、何も作れない」と断じています。
経営の世界でも、例えばAppleの創業者スティーブ・ジョブズは「偉大なアイディアを盗むことに関して恥じることはない」といっていました。
そして、そのAppleを徹底的に模倣した中国のXiaomi(シャオミ)は、売上高が日本円で5兆円超、中国国内でのスマホの市場シェアが本家のAppleを超えました。今では、家電製品や電気自動車なども扱う巨大メーカーに成長しています。
もちろん、著作権や意匠権などの知的財産権を侵害するコピー商品は論外ですが、物事の本質を見抜いてモデル化して模倣することは、人類の進歩に欠かせない行為です。
経営の世界でいえば、経営資源の少ない中小企業は特に、他社で成功している事業や機能、組織などをヒントにしたり、ときにはその他社に直接教えをこうたりして、自社に応用して採り入れていくことは、絶対に必要です。
私たちの塾生でも、模倣戦略で成功した会社はいくつもあります。
例えば、もともとWebサイトデザインの事業をしていた会社は、高いシェアがあるマッチングプラットフォーム(「ヒトとヒト」や「ヒトとモノ」をつなぐマッチングサービス)のビジネスモデルを模倣して、同様のサイト運営をはじめました。ただし、模倣するだけでなく先行サイトを徹底的に研究して、オリジナルの機能やデザインを加えて改良したことで、多くの利用者を獲得しました。
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