米中間の航空貨物輸送が「免税特例取消」で激減 TemuやSHEINの需要消え、航空会社に深刻な打撃

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中国の航空貨物業界は越境ECの急成長を追い風に輸送力を増強してきたが、一転して機材余剰に見舞われている(写真は中国国際貨運航空のウェブサイトより)

アメリカのトランプ政権が中国からの小口輸入貨物に対する「デミニミス(非課税基準額)ルール」の適用を取り消した直後から、米中間の航空貨物輸送が激減している。

デミニミスルールは輸入申告額が800ドル(約11万6300円)以下の小口貨物を対象に、関税の免除や簡素な通関手続きを認める特例措置だ。トランプ大統領は4月2日、中国(香港を含む)からの輸入品を対象にその適用を取り消し、5月2日から関税支払いと正規の通関手続きを命じる大統領令に署名した。

それが実行に移されると、中国とアメリカを結ぶ貨物機の運航本数はたちまち減少した。航空情報サービス会社の飛友科技のデータによれば、2025年4月には米中間で1日当たり65.8便の貨物専用機が運航していたが、デミニミスルールが取り消された当日の5月2日は32便、翌週の5月7日は28便と半分未満になった。

日本・韓国行きも需要減少

「アメリカ行きの貨物機はほとんど運航が止まった。(輸送需要の激減で)1キログラム当たりの運賃は20元(約402円)前後に下がっている」

浙江省の空港運営会社の関係者は5月9日、財新記者の取材に対してそう証言した。航空貨物業界の別の関係者によれば、アメリカ行きの貨物機のチャーター便は5月の運航予定がほぼキャンセルされたという。

米中間だけではない。中国と日本および韓国を結ぶ貨物便も需要が目に見えて落ち込んでいる。日本と韓国は、中国からアメリカに向かう一部の航空貨物の中継拠点になっていたため、巻き添えを食った格好だ。

(訳注:記事原文が配信された後の5月12日、米中両国は相互に課していた追加関税を90日間大幅に引き下げることに合意した。だがトランプ政権は、デミニミスルールの適用取り消しは撤回しないとしている)

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