
アメリカのトランプ大統領が中国に仕掛けた「貿易戦争」が、中国の航空会社の機材調達に影を落としている。
「彼らはボーイングとの大きな取引を反故にした」。トランプ大統領は4月15日、自身のSNSにそう投稿した。この発言は、中国の複数の航空会社がアメリカの航空機製造大手ボーイングに発注していた旅客機の引き取りを延期したことを指すとみられる。
その一方、国有三大航空会社の1社である中国南方航空は4月11日、先に公表していた(現在保有している)10機のボーイング787-8型機と2基のエンジンの売却計画を停止したことを明らかにした。
(訳注:中国南方航空は、貿易戦争の影響でアメリカ製の航空機や部品の調達に支障が出ることに備え、既存機材の温存を図ったとみられている)
輸入の半分強がアメリカ製
トランプ政権はアメリカに輸入される中国製品に一方的に追加関税を課し、税率を繰り返し引き上げた。中国政府はそれに対抗措置で応じ、(4月下旬時点で)アメリカが中国製品に課す関税率は145%、中国がアメリカ製品に課す関税率は125%に達している。
「中国(の航空業界)がアメリカから輸入する航空関連機器や部品は、大幅な価格上昇が避けられないだろう」。スイスに本社を置く国際物流大手のキューネ・アンド・ナーゲルはそう指摘する。
これは中国の航空業界にとって死活問題だ。中国海関総署(税関)の通関統計によれば、中国が2024年に輸入した航空機および部品の総額は約121億6700万ドル(約1兆7410億円)。そのうちアメリカからの輸入が約62億800万ドル(約8883億円)と、全体の半分強を占めた。
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