ここ数年、激安EC(電子商取引)の「Temu(テム)」や低価格アパレルの「SHEIN(シーイン)」に代表される中国の越境ECビジネスの急成長を追い風に、中国発の国際航空貨物需要は増加の一途をたどってきた。

財新記者の取材に応じた複数の業界関係者によれば、第2次トランプ政権の発足前には、中国から海外に向かう航空貨物の6~7割を越境EC業者の小口貨物が占めていたという。
「デミニミスルールの適用取り消しは、中国の越境EC業者だけでなく航空会社の貨物輸送事業にも打撃が大きい。なかでも民営の貨物専門航空会社など、アメリカ行き小口貨物への依存度が高かった航空会社への影響は深刻だ」。前出の飛友科技のアナリストである羅程洮氏は、そう指摘した。
世界の航空貨物市場に波乱
羅氏によれば、中国の航空会社は近年の需要拡大に対応するため、貨物専用機の導入を積極的に増やしていた。それだけに、アメリカ行き小口貨物の激減で生じた輸送能力の余剰を、短期間で埋められる代替需要は見当たらないという。

それでも、航空会社はこの厳しい現実に対処せざるをえない。業界関係者の多くは、余った貨物機が米中間以外の路線に投入され、世界の航空貨物市場に波乱をもたらすと予想する。
財新記者の取材に応じた広東省の航空物流会社の経営者は、今後の計画について次のように語った。
「東南アジア、中央アジア、中東、アフリカなど(中国が推進する広域経済圏構想の)『一帯一路』の沿線地域(の需要掘り起こし)に可能性を感じている。多数の国の需要を合わせることで、アメリカに匹敵または超える規模になることを願っている」
(財新記者:鄒暁桐)
※原文の配信は5月10日
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら