夕食後は1時間ほどテレビを観て、19時半には寝る。遅いときでも19時40分。ちゃんと時計を見て、時間が来たら寝る。寝つきはすこぶるよし。布団に入ったらすぐに眠れるという。
栄子さんが語る。
「父にはスパルタで接しています。仕事を引退した分、動かないと体がなまるよってハッパをかけています。私は仕事をしているので父の世話を焼くことはなく、1週間に1回、顔を出すくらい。でも、ご近所の方や父の友だちがしょっちゅう父におかずを差し入れてくださったりして、本当にありがたいです」
玄関の下駄箱にはマジック書きの栄子さんのメモが置かれている。
〈ガス、ストーブ、テレビ。出かける前に見て!〉
松橋さんの仲間たちに道で会うと、「いっつも遊びに行ってね、迷惑かけて、わりな(悪いね)」と恐縮されるが、栄子さんは「なんも助かります。汚くしていますが、行ってやってください」と感謝を伝える。
スパルタ方式だけれど、父を見守るまなざしはいつもやさしい。

実は、服を買うのが大好き
スパルタ話といえば、もう1つ。日本全国どこのシニア家庭でも勃発する、老親VS子の断捨離問題。伝説のマタギで鳴らした松橋さんも、栄子さんにうるさく叱られているらしい。
「来るたびに冷蔵庫や棚をあけて食料や調味料の賞味期限を見て、『これ、去年に切れてらべ!』って、もう、しょわしね(うるさい)。俺はなんも腹病まねがら食べるって、そこは娘に負けない」
びっしりタンスに詰まっている上着やズボンも、栄子さんに、「着ないものは片づける!」とシカリのごとく号令をかけられる。
実は松橋さんは、服を買うのが大好き。旅行に出ると、「さっと(ちょっと)いいなって思えば、すぐ買ってしまう」。そうやって数回しか着ない服が増えていく。だが、松橋さん曰く、「娘もよくない」。
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