“果物はなんでも健康に良い”は思い込み? 整形外科医が提言する「高齢者の骨折を予防するために食べてもいい果物」

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どうやら果物は制限の埒外に置かれていたようです。実は、このような患者さんはかなり多い。糖質制限をしていても、果物は別物だと思って、健康のためにせっせと食べてしまっているのです。

日本では季節ごとにおいしい果物が店頭に並びますから、食欲をそそられるのもわかります。ただ、日本で栽培される果物のなかには、品種改良によって糖度を高めているものがたくさんあります。

甘い果物は、もはやお菓子を食べているといっても過言ではありません。この患者さんも毎日トマトジュースを飲み、ご主人ともどもリンゴを朝と晩に食べていました。果糖をどんどん取り込んでいたわけです。

果物や野菜に多く含まれる果糖には、実は血糖値を上げる作用はありません。しかし、その糖化の作用はブドウ糖の何倍もある“曲者”なのです。ちなみに、トマトジュースの場合、メーカーによって差がありますが、1缶に含まれる糖質量は角砂糖2個〜4個半分にも相当します。

クマは冬眠する前に果物を好んで食べる

この患者さんの中性脂肪を上げたのは、果物の“常食”だったと思われます。最近ではトマトやニンジンなど、野菜のなかにも糖度の高いものがあります。中性脂肪が高い患者さんのなかには、果物も減らしたのになかなか中性脂肪が下がらない方がいますが、問診したところトマトをたくさん食べていた、というケースもありました。

私は患者さんに果物の話をするとき、しばしばクマを引き合いに出します。クマは冬眠する前におなかにたっぷり食べ物を詰め込みます。果物も大好物です。

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なぜ、そうするのか。冬眠に備えて皮下脂肪(中性脂肪)をつけるためです。果物の果糖はそのうえで大きな役割を担っています。クマは必要にかられてそうしているわけですが、冬眠をしない私たちにその必要はありませんよね。

糖質を減らすという観点からいえば、果物は注意すべき食品といえます。とくに甘い(おいしい)果物はできるだけ控えるべきでしょう。果物を食べるなら、びわ、キウイ、グレープフルーツ、はっさくなどの柑橘類、つまり、甘さが“物足りない”もの、酸味が強いものがおすすめです。

「果物=健康食」という刷り込みもあって、果物に含まれる果糖の問題点(糖化や中性脂肪の増加)は、案外盲点になっているのかもしれません。甘くておいしい果物の摂りすぎには十分注意するようにしてください。

大友 通明 医療法人社団二柚会理事長、大友外科整形外科院長

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おおとも みちあき / Michiaki Ohtomo

医療法人社団二柚会理事長、大友外科整形外科院長。医学博士。日本整形外科学会認定整形外科専門医。東京医科大学医学部卒業後、東京医科大学八王子医療センターをはじめ、関東各地の病院で臨床経験を積み、埼玉県北本市に整形外科クリニックを開院。整形外科に栄養療法を取り入れた「栄養整形医学」を実践。保険診療だけでなく自由診療も行い、地域のかかりつけ医として診察に当たっている。

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