咳や鼻炎だけじゃない!血管を襲う黄砂やPM2.5で心筋梗塞発症リスク増「注意すべき人」の特徴5つ――マスクや空気清浄機は?

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PM2.5とは、直径2.5マイクロメートル(1マイクロメートルは1ミリメートルの1000分の1)以下の大きさで、大気中に浮遊している小さな粒子のこと。黄砂の大きさは直径約4マイクロメートル。ちなみに、スギ花粉の直径は約30マイクロメートル、人の髪の毛の直径は約70マイクロメートルだ。

PM2.5の成分はさまざまで、炭素成分や硝酸塩、硫酸塩、ケイ素、ナトリウム、アルミニウムなどが挙げられる。

発生源は主に物の焼却や、自動車、航空機、船舶の排ガス、工場の排煙など。火力発電所や工場などから排出される硫黄酸化物や窒素酸化物、溶剤や塗料から発生する揮発性有機化合物が大気中で化学反応を起こし、2次的に生じることもあるという。

環境省によると、黄砂やPM2.5によって生じる症状は主に3つある。1つめは目のかゆみや結膜炎、鼻水やくしゃみ、皮膚のかゆみ、肌荒れなどの「アレルギー症状」、2つめは咳や喘息、肺炎などの「呼吸器疾患」、そして3つめは心筋梗塞や不整脈などの「循環器疾患」だ。

黄砂やPM2.5で生じる3つの健康問題

① アレルギー症状 目のかゆみや結膜炎、鼻水やくしゃみ、皮膚のかゆみ、肌荒れ

② 呼吸器疾患 咳や喘息、肺炎
③ 循環器疾患 心筋梗塞や不整脈

黄砂飛来の翌日に心筋梗塞「増」

黄砂やPM2.5で怖いのは、命に関わる可能性があることだ。このため、国内外では多くの調査・研究が進められている。

2017年に論文「黄砂飛来の翌日に急性心筋梗塞が増える可能性」を発表したのは、熊本大学客員教授で桜十字八代リハビリテーション病院(熊本県八代市)副院長の小島淳さんだ。

小島さんによると、気象庁が定めた黄砂観測日(肉眼で物を確認できる距離が10キロメートル未満の日)をもとに、熊本県内にある21の医療機関の急性心筋梗塞患者の状況を分析したところ、黄砂が観測された翌日は、観測されなかった日に比べ、急性心筋梗塞を発症した患者が1.46倍も増えたという。

「75歳以上の高齢者、男性、高血圧、糖尿病、慢性腎臓病、非喫煙者(注)という6つの要因を複数持っている患者さんほど、黄砂によって急性心筋梗塞を発症しやすいことがわかりました。なかでも、慢性腎臓病のある人は、ない人と比べて、黄砂の影響を受けて、統計学上有意に急性心筋梗塞を起こしやすいという結果が出ました」

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