「お金さえあれば、本当に幸せ?」日本人に「お金教」が広まった3つの深い理由

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たしかに、「お金教」に従うことで一定の資産を築くことは可能かもしれません。

ただ、「それが人生の本質ではない」ということに気づくことが大切であり、むしろ、その「本質」を知っている人のほうが、結果として「億を稼ぐ人」になっていたりします

彼ら彼女らを通じて、お金そのものではなく、お金を「どのように使うか」が資産を築く本当のカギなのではないかと、編集者として多くの「億を稼ぐ人」を会ってきた経験から、そう感じるようになりました。

「税制と社会保障制度」が、お金に対する意識を鈍らせる?

日本人の間に「お金教」が広がった背景には、宗教観だけでなく、日本の雇用制度が関係しているように感じています。

なかでも、長く勤め上げれば報われるという幻想を生み出した終身雇用制度。そのメリットを享受できたのは団塊世代をはじめ限られた人たちです。

2024年に賃上げ率が32年ぶりの高水準を示しましたが(大企業5.58%、中小企業3.92%)、一方で労働者の4割弱が非正規雇用でその総数は横ばいを続けており、少なくない人たちが低賃金のままキャリアを終えることになるという現実もあります。

また、会社員と公務員における日本の税制(と社会保障制度)も、お金に対する意識を鈍らせる要因のひとつでしょう。

年収2000万円以下の会社員は確定申告をする必要がなく、税金のしくみを深く理解する機会がありません。しかも税金は天引きされているため支払った感覚が少ない。すると、多くの人は「税金のことは会社に任せておけばいい」という考えに陥ります。

よく言えば「お金について余計なことを考えなくて済む」とも言えますが、実際には「お金について余計なことを考えなくさせている」という環境とも言えます。

ラクではありますが、自分のお金、ひいては「人生をコントロールする力」を失っているとも言えるのではないでしょうか。

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