そうなると事態はずっと平行線のままだ。むしろ、親子の距離は離れていく。
「子どもが親を説得して片付けのスイッチを入れるのはなかなか難しいです。やっぱり、自発的に『片付けよう』と思ってもらわないといけません。そのためには、たとえば『こんな動画があるみたい』と僕たちのような業者が配信している動画をやんわり勧めてみるなど、遠回しに生前整理の大切さと遺品整理の大変さを伝えてあげることが必要です」(二見氏)

依頼主である娘も初めは1人で片付けようとしたが、2日目で早くも挫折してしまった。
必要なモノだけを残し、ゴミを仕分けするところまではなんとかできる。しかし、それを捨てるのがとにかく大変なのだ。燃えるゴミ、燃えないゴミ、資源ゴミなど曜日ごとに分けて捨てなければいけない。
しかも、この家の場合ゴミ袋の量は実に1500袋を超す。それを1人で運び出すなんて無理である。根性があれば、時間があれば、という問題ではない。

高齢になった親が「モノを溜め出す理由」
月100軒のゴミ屋敷・モノ屋敷を片付けるイーブイの経験上、モノ屋敷の住人のほとんどは高齢者だという。それには理由が2つある。
「ご高齢になると体力的な面でゴミ出しができなくなる問題もありますが、歳をとると生活の変化を嫌うようになってくるんです。だから、家の中のモノを一気に捨てようという気になかなかなりません。一方、子どもたちが実家を出て行ったタイミングで家を売り、その売却益でマンションに引っ越すご夫婦もたまにいます。そういう変化を嫌わないタイプの人はそもそも家の中もスッキリしていることが多いですね」(二見氏)

無料会員登録はこちら
ログインはこちら