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キャリア・教育 #戦略論としての老子

薩摩藩に学ぶ「テゲ流リーダーシップ」西郷隆盛も大村益次郎も実践!現場を信じて見守る、ほどほどのリーダーのほうが組織は育つ、強くなる!

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  • 原田 勉 神戸大学大学院経営学研究科教授
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心情だけに頼れば暴走し、知性だけに頼れば冷え切ってしまう。心と知、その両方をバランスよく支えることが、勢いを持続させる鍵だったのです。

老子が説いた「虚」としてのリーダー

西郷や大村のリーダーシップは、江戸時代の朱子学(秩序・形式重視)とは異なり、むしろ老子の「無為自然」の思想に近いものでした。

老子はこう語ります。

太古の世では、民は君主の存在を知るのみだった。君主が悠然と構えていれば、民は自然に事を成し遂げた。(太上下知有之)

リーダーが細かく管理しないからこそ、組織は自然に動き、成果を上げていくのです。

ただし、それは放任ではありません。

感情と理性、自由と統制。

これらをバランスよく支える「虚」のリーダーシップが必要なのです。

テゲとは、決して軽薄な「適当」ではありません。

それは、最も重たいものを、最も軽やかに支えるリーダーの奥義です。

勢いを生み、守り、育てる。

自由と統制の間で、流れを見守り続ける。

氷は形を変えられませんが、水は自在に器に沿います。

リーダーに求められるのは、水のようなしなやかさと、静かに流れを操る力なのです。

これからの時代、必要なのは「強いリーダー」ではありません。

「リーダーがいなくても強い組織」を育てることです。

心情的な共感と、知性的な設計。

このふたつのバランスをそっと支え、勢いを育てる──。

それが、テゲ流リーダーシップの本当の姿であり、変化の時代をしなやかに生き抜くための力になるのではないでしょうか。

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