「健康診断で見逃されているかもしれない」血管の隠れたリスク

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

1位の「認知症」は、「アルツハイマー型認知症」「脳血管性認知症」「その他の認知症」の大きく3つに分けることができます。

アルツハイマー型認知症と脳血管性認知症では、血管内皮細胞の機能の低下が認められています。特に、脳血管性認知症は、脳の血管の血流に問題が生じることで起こるのです。

認知機能の指標として行われる簡単な検査「MMSE(ミニメンタルステート検査)」の点数は、アルツハイマー型認知症の場合を含めても、血管内皮細胞の機能と相互に関係しています。

血管内皮細胞の機能が低いほどMMSEの点数が低く、逆もまた然りです。

つまり、血管内皮細胞の機能の改善によって、認知症を予防したり進行を遅らせたりする可能性があるということです。

最近の知見では、血管年齢を上げる糖尿病や高血圧などの生活習慣病と認知症が、深く関わっていることもわかっています。

2位の「脳卒中」は大きく脳梗塞と脳出血に分かれます。どちらも動脈硬化が原因です。脳卒中の一番の危険因子は、高血圧ですが、他にも次のようなものがあります。

糖尿病
脂質異常症
心房細動(不整脈の一種。心臓の一部に血栓がつきやすくなり、脳梗塞の原因となる)
過度な飲酒
喫煙

脳梗塞を発症した人は、特に、血管内皮細胞の機能が低下しています。

隠れ脳梗塞といわれる「大脳白質病変」は、脳の毛細血管などの血流が低下することによって起こるとされています。また、症状が重いほど、血管内皮細胞の機能が低下しているようです。

毛細血管は、ほとんどが血管内皮細胞でできているため、より血流に影響が出やすいのでしょう。

血流をよくする習慣を心がける

血管専門医が教える新事実 科学的根拠で血流をよくする
『血管専門医が教える新事実 科学的根拠で血流をよくする』(総合法令出版)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

3位の「骨折」については、閉経後の女性に多い、「骨粗しょう症」が、血管内皮細胞の機能の低下と相互に関連している可能性があります。

動物実験のレベルですが、骨への血流が骨の形成とミネラル化に関わっていることがわかっています。血流が悪ければ、骨の形成にも影響すると思われます。

私たちが生きるために必要な栄養や酸素などは、全身に張りめぐらされた血管を流れる血液によって、体中の細胞に届けられています。そのため、体の一部で血流が滞っているということは、全身の血流が低下しているというサインなのです。

血流のケアは全身、そして、みなさんの「未来」につながっています。

寝たきりを防ぎ、「健康に毎日を過ごせる」未来のために、血流をよくする習慣を心がける必要があるのです。

梅津 拓史 日本循環器学会専門医、日本心血管インターベンション治療学会認定医

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

うめつ ひろし

専門は心臓血管治療。通算の心臓カテーテル治療件数はファーストオペレーターとして2500例以上。

急性心筋梗塞や狭心症の治療を中心に基本的な心臓カテーテル検査から最も難易度の高い慢性完全閉塞病変のカテーテル治療まで幅広く施行し、多くの心疾患の患者を救った心血管カテーテル治療のエキスパート。

現在は、これまでの治療経験から、治療だけでなく疾患の予防が大事だと気づき、生活習慣病全体の治療に従事している。

3年前から本格的に筋力トレーニングを始め、ベンチプレス100kgなど、自身のトレーニング実績も豊富。

その経験も踏まえた食事・運動指導は評判となり、雑誌監修、テレビ出演など各メディアをはじめ、健康分野での活動や取り組みが注目されている。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事