飯舘村から避難した「母ちゃんたち」の自立への一歩--そごう柏店「までい着」販売会までの足取りを追う

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「やりたいのはやまやまだけど、メンバーを集めることができないということなんだね」。佐野さんにはまた、悲しみが押し寄せてきた。しかし、仮設住宅団地の管理人には、悲嘆に暮れる時間は与えられていない。寒波が襲ってくれば、防寒対策が手薄な水道管が凍ったり、破裂したり。団地内は大騒ぎとなる。高齢者の健康不安も募る。そうでなくても、不審な人物が敷地内に入ってくる。勝手にやってくる報道関係者も住民の生活への脅威でしかない。そのたびに、携帯電話が鳴り、佐野さんは昼も夜も走り回る。

そごうでの販売会の開催日も近づいている。いい商品を少しでも多く並べたい。製品チェックも必要だ。開催当日の役割分担もきちんと決めないといけない……。村の恥になるような商品は絶対に出せない。そごうに迷惑をかけることもできない。

さすがに、佐野さんは心身ともに疲労がたまった。3月初め、体調が悪化した。病院に行くと、「血圧が高い」と診断された。

今、佐野さんは薬を飲んで体調を維持しつつ、そごうプロジェクトの最終仕上げに向かっている。着物を送ってきてくださった全国の善意の人たち。昨年暮れに東京で行った半てんの販売会に集まった購入者から送られた励ましの声。今回の販売会の開催に向け、いろいろと助言してくれたそごうの社員たちやさまざまな支援者。

この人たちの気持ちに報いるためにも、すばらしい販売会にしないといけない。

「絶対に成功させたい」

今、佐野さんは取材に訪れる記者たちに、こう語っている。

(浪川 攻 =東洋経済オンライン)

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