「禊は済んでいない」「ファンが見るぶんにはいいのでは」と賛否両論…ダウンタウンの活動再開が秘める《吉本興業のリスク》と《大きなチャンス》
活動再開に対しては賛否両論で、現段階で意見は分かれているように見える。
難しいのは、松本さんの性加害は依然として「疑惑」にとどまっているという点だ。
たとえ疑惑だったとしても、昨今のメディア・芸能界での性加害が問題化されている状況、コンプライアンス重視の風潮を鑑みると、地上波放送局はもちろん、第三者はダウンタウンの起用には躊躇せざるをえないだろう。

一方で、「加害行為が確定した」とも言いがたい状況であるから、活動再開自体は否定しにくいという事情もある。独自のプラットフォームから、自分で配信を行い、視聴者も自主的にお金を払うファンに限定されるのであれば、大きく問題にはならない可能性は高い。
逆に言えば、吉本興業とダウンタウンは、リスクの低いやり方を選択したともとれる。
吉本興業が抱える「リスク」
一点、 懸念されるのが、吉本興業側のリスクである。
「所属芸人の不祥事に寛容な企業」だと思われてしまうと、吉本興業の信頼性に関わってくる可能性もある。下手をすると、他の芸人の起用にもマイナスの影響を及ぼしかねない。
松本さんの性加害疑惑には、他の芸人も関わっていたことが報道されている。吉本興業が、性加害を始めとする人権侵害行為に対してどのように向き合っていくのか、問題を起こした芸人にどのような対処を行うのかといったことを明確にしなければ、吉本興業に対する信頼性が揺らぎかねない。対応を厳しくしたらしたで、「松本人志だけを優遇するのか?」という批判も起きかねない。
思い返すと、2011年に島田紳助さんが反社会勢力との交際で引退に追い込まれたが、その後には2019年に複数芸人の闇営業問題が発覚するに至っている。最近でも、オンラインカジノを行った複数の芸人が書類送検されている。
組織の風土を変えること、根が「自由人」であることを売りにしていたり、誘惑が多かったりする芸人に行動規範を遵守させることは、そう容易なことではなさそうだ。芸能界の健全化が求められるご時世、吉本興業に対してはより厳しい目が注がれることになるだろう。
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