誰にだっていいところがあるんだよというメッセージを込めて作りました。「自分もこんなところがあるな。どんなことに気づけたら、変われるんだろう?」と考えてもらえたらいいなと思っています。
「なんでも魔女商会」シリーズは、毎回ゲストキャラがいます。そのゲストキャラのお悩みに応じて洋服をリフォームをしていくお話なのですが、『いちばん星のドレス』の巻では、「友達って何?」「私の素敵なところって何?」などをテーマにしました。
苦手なことを克服する物語といっても、できなかったことができたらおしまいではなく、自分の中で感じ方や見方を変えることで、前に進んでいけると思えることが大切だと思っています。
魔女が主人公なら、その召使い猫は真っ黒の猫が定番。でも主人公の召使い猫コットンには、黒くない部分があります。85%しか黒くない猫であることに対してコンプレックスを持っているというコットンと主人公の出会いを描いたお話も作りました。
人気のあるキャラクターで、コットンが出てくる話が好きという子はたくさんいます。私の書くお話は、できないことができないままで終わるお話の方が多く、コットンも努力したら100%黒の猫になれるわけじゃないんです。
でも、物語の最初と最後では、コットンの心持ちが変わっています。私自身がすごくコンプレックスの多い人間なんですが、不思議と腐ることなく、なんとか明日はもっといい自分でありたいっていうふうに思ってきた性質なので、それがストーリーにも出ているのかもしれません。
『お花のドレスのBプラン』というお話では、「よくないことは、よいことのタネ」という言葉を登場させました。良くないことが起こっても、それをきっかけとしていろいろ考えるようになれば良いことにつながる、という意味です。
だから、AプランでダメだったらBプランにすればいいんじゃない? と考え直す内容にしました。思っていたのと違うと思っても、「そこでできる限りのことをしよう。むしろおもしろいことになるかもよ」という、思い通りになることがすべてじゃないというお話を書きました。
自分の中で嫌いだ、苦手だと思っていたことも、物の見方を変えれば、そんなふうには思わなくなります。いろいろなものをジャッジしていくとき、見方を変えればいいと思い至れば、他者に対しても寛容になれます。
だから、いま苦手があるっていうことは、その伸びしろがあるっていうことなんですよ。心の気づきで気持ちよく生きられるようになれば、それが一番です。
大人も共感する"癒やし"のシリーズ
このシリーズは、大人の人が読んでも「心が癒やされました」と言っていただくことが多いです。失敗したけれど立ち直っていくという過程は、大きくなっても変わらないのかもしれませんね。
大人の悩み事も、意外と子どもの悩み事と同じじゃないのかなと思う部分もあります。ぜひ親子で読んでいただけたら嬉しいです。
→次の記事:「もしルルとララが新宿でスナックを始めたら?」、作者・あんびるやすこさんが妄想する「大人になった」主人公の物語
1回目:20周年の「ルルとララ」、人気作家あんびるやすこさん「親が買い渋るものより、親子で買いたくなる児童書を」。シニアにもおすすめの理由
2回目:累計380万部、20年続く児童書「なんでも魔女商会」「ルルとララ」ができるまで。子どもたちを夢中にさせる児童書とは?
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