腎臓病を引き起こす「二大巨頭」は、じつは身近な"生活習慣病"…併発が招く【負のスパイラル】の恐怖

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毎日の記録は診察する医師にとってもとても役立ちますし、生活習慣を自分自身ではっきりと視覚化することにも大きな意義があります。そのうえで医師から処方された薬があれば、用法や用量を守って欠かさず飲み、まずは根本治療として原因疾患の改善に努めていきましょう。

そして、これまでに解説してきた、腎臓リハビリメソッドによる運動療法、減塩などの食事療法をひたむきに取り組んでいけば、おのずと腎臓にとってもいい習慣が生まれているはずです。

タバコは「前日より1本でも」減らしていく

また、腎臓だけでなく、すべての臓器、ひいては自分自身の健康のことを思うのであれば、ひとりの医師として禁煙することを推奨します。

喫煙は慢性腎臓病の危険因子であるばかりか、心臓病や脳卒中、がんなどの循環器疾患、COPD(Chronic Obstructive Pulmonary Disease:慢性閉塞性肺疾患)や結核などの呼吸器疾患など、多くの重篤な病気の発症率や死亡率のリスクを高めることも念頭に置いてください。

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1日20本の喫煙者が末期腎不全に至るリスクは、非喫煙者の2倍以上。腎臓病の治療においては禁煙が絶対であり、これには論をまちません。

「ほかのことはなんでも我慢できるけど、タバコだけは……」

こう漏らす患者さんに今まで大勢お会いしてきましたし、本稿の読者のなかにも「自分のことだ」と思っている方は多いでしょう。

医師として、タバコの存在を完全否定したい一方で、タバコの持つ魅力(魔力)については、おおいに理解しています。だから私は、喫煙者に対して「金輪際、1本も吸ってはいけません」とか、「今この瞬間から、ゼロにしてください」とは言いません。

「少しずつで構わないので、減らしていく努力をしましょう」

このように、お伝えしています。

前日よりも1本だけ少なくしたり、紙タバコよりは健康被害を若干軽減できる電子式タバコに切り替えたり、禁煙外来を受診してみたり、というふうに、やれることはいろいろあるはずです。

本気で健康寿命を延ばしたいと思っているのなら、今よりももっと真剣に、禁煙に意識を向けるようにしましょう。

 
上月 正博 東北大学名誉教授、山形県立保健医療大学理事長・学長

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こうづき まさひろ / Masahiro Kouzuki

医学博士。日本心臓リハビリテーション学会名誉会員、総合内科専門医、腎臓専門医、高血圧専門医、リハビリテーション科専門医。1981年、東北大学医学部卒業。東北大学大学院内部障害学分野教授、東北大学病院リハビリテーション部長等を歴任。2022年より現職。心臓や腎臓などの内部障害のリハビリテーションを専門とする。2013年、日本心臓リハビリテーション学会学会長。2018年には腎臓リハビリテーションの功績が認められ、心臓や腎臓の分野に貢献した科学者に贈られる世界的に名誉ある賞「ハンス・セリエメダル」、2022年には「日本腎臓財団功労賞」を受賞。

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