腎臓病を引き起こす「二大巨頭」は、じつは身近な"生活習慣病"…併発が招く【負のスパイラル】の恐怖
「それは重々承知しています。何人もの先生にそう言われましたし、何冊も本を読みました。わかってはいるんです。ただ、体にしみついてしまった生活習慣は、なかなか変えられないんですよね……」
こういう方は大勢いらっしゃいます。人間は、誰しも命の危機に直面すれば次なる行動に移せますが、健康診断の数値が芳しくなくても、加齢による体の衰えを実感していても、生活に大きな支障がなければ"現状維持"を選択しがちです。
でも、この「わかっちゃいるけどやめられない」的なスタンスは、どうか、改めるようにしてください。必ず、後悔することになります。
腎機能を悪化させる「二大巨頭」とは
生活習慣病が悪化したことによって、腎機能も低下してしまった――こういったケースで腎臓病への道を歩んでしまう人はじつに多いです。そのなかでも、糖尿病と高血圧が代表的な原因疾患の二大巨頭となります。
腎臓は体内を循環している血液のろ過をおもな仕事としているので、血管を傷つける高血糖や高血圧は、すぐにでも改善しなければならない症状です。
とくにフィルターの役割を担う糸球体は毛細血管の集まりなので、高血糖の血液が流れこむと血管の壁が障害され、ろ過機能を果たせなくなってしまいます。
じゅうぶんに血液のろ過ができない状態を糖尿病性腎症といいますが、これは腎臓としての機能を果たせていない重篤な症状なので、最終的には人工透析へと至ります。
一方、高血圧が続くと腎臓の血管に動脈硬化が起こり、腎臓の機能を低下させる腎硬化症へと進行していきます。血管の伸縮性や弾力性が失われるため、糸球体に血液を送る細動脈に圧力がかかり、硬化によって血管の内腔が狭くなることが特徴です。
ちなみに、血管の内腔が狭くなって腎臓の血流が悪くなると、それを解除しようと圧力を上げるホルモンが腎臓から分泌されます。
しかし、血管内の圧力が上がるということは血圧が上がるということなので、これがまた動脈硬化を加速させる原因となってしまいます。
まさに負のスパイラルを生む腎硬化症ですが、この病気の怖いところは、自覚症状がほとんどないことです。患者さんによっては糖尿病と高血圧を併発している人も少なくありません。
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