森永卓郎さん(享年67)が最期にたどり着いた「日本人が生き抜くための"答え"」は《さらば!グローバル資本主義》だった
畑のある場所は、西武池袋線の池袋から急行に乗って約30分、下車した小手指(こてさし)駅からは車で約10分、歩けば約30分。
いまは周囲に住宅が建ち並ぶようになりましたが、私がここに越してきた1985年には見渡す限りの畑だった田舎です。
2020年にコロナ禍になって以降、それまで群馬県内に借りていた畑に通えなくなったので、ここに1アール(100平方メートル)の畑を2つ借りて、講演やテレビ出演が減って暇になった時間を使って、毎日農作業に励んできました。
このあたりは、いわゆる「トカイナカ」と呼ばれるエリアです。
都心から車でも電車でも1時間から1時間半。コロナ禍でリモートワークが主流だったときには、週に1~2回は都心のオフィスに出社するけれど、あとは自宅でリモートワーク。大学の授業もゼミも、リモート中心でした。
この生活スタイルなら自宅菜園で野菜もつくれるし、周囲の野山で自然を満喫できる。トカイナカエリアには、そんなサラリーマンや自営業の人たちが多く生活しています。
「一人社会実験」を決行
私はこの畑でスイカ、トマト、ミニトマト、キュウリ、ピーマン、サヤインゲンなどなんでもつくり、親子4人家族で野菜はほぼ自給自足していました。
そもそもここで畑を始めたのは、「どのくらいの広さの畑を耕せば自給自足できるのか?」という「一人社会実験」のつもりでした。
その答えは家族4人ならば1アール。それだけ耕せば、豊富な野菜が手に入る。もちろん備蓄もできますから、大規模な自然災害が発生しても、当面は食べることには困りません。
食料だけでなく、電力も社会実験しました。
自宅の屋上にソーラーパネルを貼って、どれだけの電力が稼げるか。これもほぼ再生可能エネルギーで自給できる、という確証を得たのです。
その結果、家族4人が生きていくために必要な最低限の現金は約10万円で足りることがわかりました。これだけを稼ぐなら、一般の人でもリモートワークでも十分。
あるいは政府がベーシックインカム(基本生活保障制度)を導入して 1人5万円を支給したら、家族4人で20万円になる。6万円支給したら24万円!
トカイナカで自給自足に近い生活をするには、これだけあれば十分です。
そして国民の多くがトカイナカ生活を展開するメリットは、計り知れません。
本書では、その素晴らしいメリットも縷々(るる)展開します。
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