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安倍政権の通商キーマン・今井尚哉氏に聞く「トランプ関税」対米交渉で持つべきカード、やってはいけない“ディール”とは?突然「シンゾー」の理由

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──ほかにはどんなオプションがありますか。

2つ目のオプションとしては、日米貿易協定見直しの提起だ。これは、目の前の経済へのダメージをできるだけ少なくするための手段だ。

2020年に発効した同協定に基づき、日本は牛肉の関税率を当初の38.5%から13年かけて最終的に9%まで引き下げることを約束している。自動車への関税は従来の2.5%から引き上げることはしないとの共同声明での合意もある。今回、トランプ政権はその約束を破って自動車への関税を25%に引き上げた。

であるならば、日本としても牛肉関税引き下げの見送りなど対抗措置を取りうるという姿勢を見せたうえで、もう一度、日米貿易協定そのものを見直そうといった問題提起をしてもいい。

3つ目に、日米同盟の重要性に鑑みて、アメリカの要求をある程度を受け入れるというオプションもある。アメリカがどういった要求をしてくるかにもよるが、一定の関税率を容認しつつ、日本が不利にならない条件で妥協しようというものだ。

ただし、日本がほかの国を出し抜いてものごとを進めることはあってはならない。日本は自由貿易体制のリーダーとして模範的に振る舞うべきだ。

演説で「ファンタスティックマン」と呼んだ理由

──安倍政権では第1次トランプ政権にどう対峙したのですか。

世の中では、安倍首相がゴルフなどでトランプ大統領との関係を築くことでアメリカの要求をうまく抑えたように見られているが、実態は違う。

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