「出口はどこに?」"普通"の家族を夢見た不妊治療の現実と迷い《2人の女性の告白》心身の負担・高額な治療費…情報不足だった過去への後悔

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悩む女性
出口の見えない不妊治療に悩み、迷う女性たちがいます*写真はイメージです(写真:webweb / PIXTA)
多様な角度から子どもを「産む・産まない」「持つ・持たない」論に迫る本連載
日本では長年、核家族が「普通の形」とみなされる時代が続いてきた。子どもたちは、「大人になれば、結婚して子どもを産み育てるもの」と思っていたかもしれない。今回は、描いていた「普通の家族」を作るのは難しい、という経験をした2人の女性に取材した。

夫の協力はあるが生じた迷い

36歳の会社員、Kさんは2017年に1歳下の公務員男性と結婚した。

「子どもがいるのは当たり前、という地方で育ちました。自分はいずれ結婚して子どもを持つだろうと思っていましたし、欲しくないと思ったことはありません」

しかし、3年経っても妊娠しないので不妊治療を始めた。複雑な家庭で育った夫は、特に子どもを欲しがってはいなかったが「私が望むなら『もちろん』という感じでした。決めたことを着実にやるタイプなので、検査も、人工授精のため精子を取ることについても、嫌がらずにやってくれました」という。

治療を始めたところ、2人とも妊娠しづらいと判明。Kさんはすぐ日帰り手術を受けたが、夫は超多忙な時期で精神状態も悪く、医師から「人工授精もうまくいかないよ」と言われるほど、精子に元気がなかったという。Kさんは「夫は仕事が落ち着いた1年後に手術を受け、『同時に受けられなくてごめんね』と言っていました」と振り返る。

2022年の夏頃に夫の精子を子宮に注入しようとした際、Kさんがあまりに痛がるので治療が中止になった。「自身も不妊治療をしていた看護師の友人に話したら、『それって医療事故だよ』と言われ、心が折れてもうその病院には行かなくなりました」

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