ビジネスの本質はクロード・モネの名画から学べ。100年続く熱狂的プロダクトの創りかた

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その数、約300点。膨大な数だけを見ても、計り知れない情熱が立ち上ってくるかのようです。当時のモネは睡蓮を描く間、最愛の家族を失い、白内障を抱えることになり、さらに第1次世界大戦という社会的な混乱に直面しています。

幾多の困難があっても、一貫して筆を握り続けた。その原動力は、「動」の光を自由に表現することに生涯を懸けたことにあります。これこそが、モネの「熱狂」です。

晩年のモネにとって、水面に映る睡蓮は、季節や時間帯、天候によって色が変化する様子を繊細に切り取る上で、「動」の光を表現する格好の題材だったのです。

西洋絵画の破壊的イノベーション

光の揺らめきなどの「動」の光は、どうしたらキャンバスに表現できるのだろうか?

光に魅せられたモネの「熱狂」は、「筆触分割」という技法を生み出します。

「筆触分割」とは、絵の具の色を混ぜ合わせることはせず、一つひとつの筆触が隣り合うように配置することで、鑑賞者には2つの異なる色が1つの色に見える技法です。

筆触分割の技法が顕著に見られる《印象・日の出》(1872年)は、印象派の名前の由来ともなっており、美術史上、重要な意味を持つ作品です。全体的にぼんやりとした雰囲気の中で、緑や青みを帯びた水面にオレンジの朝日が際立っているのが見て取れます。補色関係に近い両者の色を配置することで、朝日の鮮烈さを表現しているのです。

モネ《印象・日の出》(1872年)
モネ《印象・日の出》(1872年)(所蔵:マルモッタン・モネ美術館、画像:Wikipedia[Public Domain])

印象派の登場は、それまでの西洋絵画の常識を塗り替えてしまうほどのイノベーションでした。レオナルド・ダ・ヴィンチなどの盛期ルネサンスが15世紀に勃興して以来400年余り、西洋絵画といえば、聖書やギリシャ・ローマ神話などをテーマに、古典主義が確立していたからです。

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