ビジネスの本質はクロード・モネの名画から学べ。100年続く熱狂的プロダクトの創りかた

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クロード・モネ
(出所)川上昌直『熱狂的ビジネスモデル』p.205

このようにアーティストと鑑賞者は、アート作品を通してコミュニケーションを図っているのです。

創り手の熱狂が、受け手の熱狂を呼び起こす

ここまで読んでおわかりのとおり、アーティストの熱狂は、独自の感覚によって作品に込められています。アーティストは、自身の創りたいものを創りながら、いかにして受け手の感覚に訴えることができるか。鑑賞者は、創り手の感覚をいかにして読み取れるのか。その程度によって、アート作品の評価は大きく変わるといえます。

これは、そのままビジネスにも転写できます。

私たちがアーティストから学ぶ点はまさにこのものづくりにおいてです。まず創り手本人が熱狂するプロダクトを創り続ける。その保存された熱量にユーザーが熱狂する。この順番が肝心なのです。

デザインの良さや見た目の美しさは、ユーザーの感覚に訴えかけるうえで不可欠の要素です。しかしながら、ユーザーに長く愛してもらい、後にそれがイノベーションだったと認めてもらうためには、そのデザインである理由、すなわち創り手の熱狂や、それをたらしめた原体験まで表現されなければならないのです。アートマインドセットからはこのようなことを学ぶことができます。

次回は、生涯でわずか35点程度しか描いていないのに、世界中で絶大な支持を誇るヨハネス・フェルメールを取り上げます。

彼の熱狂がどこにあるのか、それがなぜ鑑賞者を熱狂させるに至るのかを見ていき、その心的態度をわたしたちのビジネスにいかに活かせるのかについても見ていきます。

川上 昌直 経営学者

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かわかみ まさなお / Masanao Kawakami

博士(経営学)。兵庫県立大学教授としてビジネスモデルを研究・教育するかたわら、ロンドン大学SOASでは特別招聘教授として、ビジネスパーソンに向けた「アートによる創造性開発」のコースディレクターを務める。利益イノベーションを主軸にしながらも革新的な価値を世の中に提案するため、アーティストのマインドセットを取り入れた新たなビジネスモデル概念の確立を試みている。諸橋近代美術館理事、ならびにチェルシーアーツクラブ(ロンドン)メンバーとして、日英でアーティストやアート関係者とのプロジェクトに関与しながら研鑽を積んでいる。主な著書に『ビジネスモデルのグランドデザイン』『収益多様化の戦略』などがある。

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