有料会員限定

ニデックの企業統治体制は「仏作って魂入れず」、内部監査・会計監査・取締役会はなぜ機能不全に陥っていたのか

✎ 1〜 ✎ 15 ✎ 16 ✎ 17 ✎ 18
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

有料会員限定記事の印刷ページの表示は、有料会員登録が必要です。

はこちら

はこちら

縮小
企業ガバナンスにおいては「グループ会社と本社で統一された基準が必要」と指摘する東洋大学の毛利教授(撮影:今井康一)

特集「検証ニデック 永守イズムが招いた蹉跌」の他の記事を読む

モーター大手・ニデックで発覚した大規模な会計不正は、第三者委員会の調査により、創業者・永守重信氏がグループ内にかけ続けた業績へのプレッシャーが主因とされた。だが、問題はそれだけではない。時価総額2兆円を超える上場企業は、内部監査体制が崩壊し、監査等委員会は経営の監査に当たって必要な情報にアクセスすらできていなかったのが実態だ。表向きは完備されたかのような企業統治体制は、骨抜き状態となっていた。ニデックのガバナンスの実効性を上げるにはどうすればよいか。内部監査や海外子会社のガバナンスに詳しく、上場企業の社外取締役も兼務する東洋大学の毛利正人教授に聞いた。

――ニデックのガバナンスのあり方と​会計不正の相関をどうみていますか。

執行サイドが業績に極端にこだわり、グレー、もしくはブラックな(不適切な疑いのある、もしくは不適切な)会計処理が行われている可能性が生じた際、外部機関を利用して、適切な会計処理が行われているか調べるのが監督サイドの役割だ。しかし、その役割は果たされなかった。

内部統制やグループ会社管理体制の脆弱性の欠陥を、ニデック自身が改善計画書で挙げている。執行に問題あったのは明らかだが、監督サイドが見過ごしてしまっていたことにも大きな問題がある。

2015年に発覚した東芝の不正会計事例で「チャレンジ」と呼ばれたように、「グレーな手法でもいいから、高い業績を上げろ」というプレッシャーがあり、会社としての統制環境が不適切だった。永守氏は社長・会長としてニデックの業務を執行し、取締役として監督し、株主として会社を所有していた。創業者としての功績は否定しがたく、それだけに、永守氏の暴走にブレーキをかけられる正しい信念を持ったCFO(最高財務責任者)がいなかった。

組織的不正行為

最初は創業者と経営トップ、そして資本家が一致する企業はほかにもあるが、ニデックは「永守商店」という経営のあり方から脱却する時期を逃してしまった。

ニデックの業績推移を見ると、確かに売り上げと利益は右肩上がりだ。左右が必ず均衡するためつじつま合わせが難しい貸借対照表(BS)を見ても、大きな歪みはなかった。

子会社レベルの不正を隠すため、在庫評価や海外拠点同士の共謀といった複数の不正行為が巧みに組み合わされ、監査法人も気づきにくくなっていた可能性がある。非常に組織的な不正行為だ。

次ページ監査法人、社外取締役の問題点は?
関連記事
トピックボードAD