KDDI「2461億円架空取引」7年見逃した理由、子会社管理の空白とキャッシュ軽視が重なった構造的欠陥

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説明会の中で謝罪するKDDIの松田浩路社長(写真:筆者撮影)
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広告主はいなかった。成果物もなかった。それでも売り上げは7年間、増え続けた。

KDDIは3月31日、子会社ビッグローブとジー・プランの広告代理事業で発覚した架空循環取引について、特別調査委員会の報告書を公表した。広告代理事業の売り上げのうち99.7%が架空だった。累計の売上高取り消し額は2461億円、外部に流出した金額は329億円にのぼる。

松田浩路社長は同日の説明会で「極めて重く受け止めている」と述べ、広告代理事業を今後再開しない方針を明言した。ビッグローブとジー・プランの社長はそれぞれ3月31日付で辞任し、関与した元社員2名は懲戒解雇とした。松田社長も月額報酬の30%を3カ月間自主返納する。

数十万円の赤字が2461億円の架空取引に膨張

特別調査委員会は2026年1月14日から3月31日まで調査を実施した。電子メールやチャットなど約337万件のデジタルフォレンジック調査を行い、関係者80名に延べ98回のヒアリングを実施している。委員長は新丸の内総合法律事務所の名取俊也弁護士が務めた。

報告書によると、架空循環取引は遅くとも18年8月に始まった。ジー・プランの元社員A氏が立ち上げた広告代理事業で数十万円の赤字が生じ、数千万円単位の売上目標を未達だった焦りから、架空の売り上げ計上を始めたのが発端だ。A氏は同事業の部長を務めていた。

その後、架空の好業績を理由に社内で表彰を受けるまでになり、取引額が雪だるま式に膨らむ中で引き返せなくなった。一部の上流代理店から23年9月以降に約3000万円の飲食費の提供を受けていたことも判明している。調査委員会はこれを取引開始の動機とは位置づけていないが、A氏が架空取引を止めなかった要因の一つになった可能性は否定できないとした。

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