時短勤務のリアル。子育て女性が直面する「マミートラック」の高すぎる"障壁"と"呪縛"

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「通勤時間をなくして足し合わせて8時間なら働けるけど、制度上無理だから」と、キャリアをあきらめた人をたくさんみてきました。私も転職活動中、どんなにいい会社だと思っても、働く時間が固定の会社は選べませんでした。

会社でも家でも居場所がない

②仕事をがんばりたいのに肩身が狭い

「時短で働かせてもらっている」「急な休みで組織に迷惑をかけている」という気持ちを持つ人も多いです。「少しでも挽回しよう! と仕事を持ち帰って家で仕事をしていると、家族の視線が痛い」という相談もよくあります。

会社でも家でも居場所がない。応援されてない気がして、心が折れてしまうのです。

③アンコンシャスバイアス(無意識の偏見)に直面し、心が痛む

「夫と協力して乗り越えよう!」と夫婦でワンチームになっても、アンコンシャスバイアスの圧に押しつぶされそうになることがあります。前述の「こうあるべき」に加えて、私自身が体験してモヤモヤしたことは、

・子の緊急時の連絡先を夫にしていても、当然のように母親である私に電話がかかってくる
・子どもが体調不良のときに母親が行くのは当たり前だけど、父親が行くと「お父さん来てくれたんですね!」となる
・「小さな子どもがいるから、この仕事は無理だろう」と気を遣われて、チャンスが回ってこない

複雑なモヤモヤと、「私は母親失格なのかもしれない……」と、働く罪悪感を抱えながら働いていました。

(3)「残像問題」を強制リセットする方法

私は、残像問題を乗り越えることはできませんでした。

限界まで働き、夫とともに疲弊し、最終的に退職を決意しました。そこで選んだのは「以前の自分を知らない会社」に転職することでした。過去の自分の残像をリセットするための決断でした。

この作戦は、一定効果がありました。

新しい会社では「定時で帰る森数さん」が通常モードとして受け入れられており、早く帰ること対する罪悪感からも解放されました。

しかし、完全に残像をリセットできたわけではありません。自分自身が「以前の自分」を知っているからです。「前のように働きたい」「あの頃のようにやれるはずだ」という思いを捨てきれない自分がいました。

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