時短勤務のリアル。子育て女性が直面する「マミートラック」の高すぎる"障壁"と"呪縛"

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その1つが、「マミートラック」と呼ばれる現象です。時短勤務を選択することで、重要な役割や成長機会が限定され、本来の能力や意欲が十分に活かせない状況に陥りやすくなります。

会社側の配慮と本人選択の結果ではあるのですが、元来仕事が好きでキャリアをあきらめたくない人であればあるほど、この状況にストレスを感じる傾向があります。

フルタイムか時短勤務かの選択とキャリア

経済面での影響も見過ごすことはできません。時短勤務による給与の減少は、新入社員並みもしくはそれ以下の水準になるケースもあります。「時短だと給与が保育園代にほとんど消えてしまい、何のために働いているのかわからなくなる」という声も聞かれます。

収入が減り、働きがいを失うことで、将来的なキャリアへの不安が大きくなるのです。

業務面では、勤務時間は短くなっても仕事量は変わらないというジレンマが存在します。仕事への意欲から持ち帰り仕事を増やしてしまい、実質的にフルタイム勤務と変わらない労働時間になってしまうことも少なくありません。

一方で、時短勤務者への時間外労働を制限している企業では、仕事が滞ったり、ほかのメンバーへの負担が増加したりする課題も生じています。

時短勤務制度そのものが悪いわけではありません。しかし、時短勤務が長期化することで、成長機会を失い、本来のキャリアに戻れなくなるリスクがあるのです。一時的な選択のつもりでも、その後のキャリアが制約される可能性があるため、選択する際には慎重に考える必要があります。

では、どうすればよいのでしょうか?

まず、短期的な視点と長期的な視点の両方からキャリアを見直して短期的な視点では、今の生活状況に合わせて以下の点を考慮しましょう。

・現在の自分の体力や気力の状態
・子どもの体調や生活リズム、保育園の送迎時間
・チームメンバーとの協力体制
・家族のサポート体制や外部サービスの活用可能性

一方、長期的な視点では、将来を見据えて以下の要素も検討しましょう。

・子どもの成長に伴う生活パターンの変化
・キャリアにおける重要な成長機会の時期
・収入面での将来設計と家族計画

こうした要素を踏まえたうえで、パートナーや家族と復職後のキャリアについて事前にしっかり話し合いましょう。話し合いをせずに「最初は時短だよね」と、なんとなく復職後のキャリアをスタートさせてしまうと、その流れが続いてしまいます。

時短勤務を選ぶ場合でも、目安となる期間を設定したり、会社とキャリアプランについて話し合ったりすることで、キャリアに対して前向きであることを会社や家族に理解してもらうことも重要です。

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