再スタートを切った《沖縄国際文化祭》 地元主体で再出発のいまと、これからに向けた課題
沖縄経済のエンターテインメントによる振興に取り組み、今回の文化祭の中心人物でもあるシンバホールディングス代表の安里繁信氏は、昨年の『沖縄国際映画祭』閉幕後、イベントの継続に向けて精力的に動いてきた。その経緯をこう振り返る。
「過去16年間は、主軸に吉本興業グループという大きな母体があり、地元側はそこに頼り切ってしまい、まるで自分たちが客のような意識がありました。そこから、沖縄が主体になることを前提に、(吉本興業元会長の)大﨑さんのサポートを受けながら一緒に準備してきて、やっとスタートラインに立てました。この1年間は、スポンサー集めから現場の調整まで、地元のお祭りにしないといけないということに尽くしてきた時間でした」(安里氏)
リスタートを迎えて今思うこと
一方、昨年の閉幕時、新たなイベントの立ち上げは、地元がどこまで本気で主体的に動くかにかかっていると言及していた吉本興業・元会長の大﨑洋氏。結果、空白期間を開けず、翌年のリスタートを果たした。
観光以外に産業が根づかないとも言われる沖縄で、今年は新たに縦型ショートドラマという新機軸を打ち立てたわけだが、長年沖縄で映画祭に携わってきた大﨑氏はこれまでの進捗をどう評価するのか。
「沖縄国際映画祭を楽しんでくれた沖縄の小中学生が、俳優やダンサー、アイドルになって訪ねてきてくれて。徐々にではありますけど、そんなことが生まれています。映画祭をスタートした当初、100回開催すると宣言していました。
それを引き継いで、今年から文化祭を83年継続すれば、沖縄は世界で唯一無二のエンターテインメント産業の島になり、本当の自立はそこでできると思っているんです。沖縄の方にはもうとっくに自立してるって怒られるけど(笑)」(大﨑氏)
また、ソーシャルビジネスもこの4年ほど、前身の沖縄国際映画祭を通して沖縄で取り組んできたテーマだ。そこから生まれたアイデアのいくつかは実際に起業まで進んでいるようだ。しかし、目指していた地域を巻き込むムーブメントにまでは至っていない。
「社会的には、目に見える具体的な成果を出して前に進んでいるとは思われていないかもしれない。ただ、その芽は少しずつ育ってきています。今年からが新たなスタート。もう一度原点に戻って、どう持続可能性を持つビジネスにするか、ゼロからやっていきます」(大﨑氏)
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