石破茂首相は7日夜、関税をめぐりトランプ大統領と電話で協議した。日本が5年連続で世界最大の対米投資国であることなどをアピールし、関税措置の撤廃や軽減を求めた。
多くの人が想定するのはトランプ大統領がディール(交渉)好きであることだろう。同氏を引きつける交渉材料を提供し、トランプショックを軽減できるのか。答えは「どちらともいえない」だ。
まず何らかの交渉材料の提供によって9日に決めた90日間停止措置の延長や恒久化が実施される可能性はある。またトランプ大統領にとって重要なのは2026年秋の中間選挙での勝利だ。追加関税によって米景気が想定以上に悪化すれば自ら関税引き下げに動く可能性もある。ただその際も元の状態に戻すかは別だ。例えば日本への相互関税を24%から10%へ引き下げれば実体経済や金融市場にプラスだが、一方でトランプ大統領にも10%の相互関税を実施したという選挙公約通りの実績が残る。
さらに注意すべきは米国がどんな交渉材料の提供を求めているかということだ。仮に関税が引き下げられるにしても、それ以上に日本にとって打撃となるような材料が求められるなら考えものだ。
戦後の歴史の転換点
いま求められているのは、米国の関税政策だけを見ることではなく、米国が戦後初めて対外姿勢を転換しているという大局的な視点だ。関税だけで部分最適を行っても全体最適となるかはわからない。
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