為替ディーラーは円相場の大荒れを予想する ドル円レートを左右する"中国景気"
たとえば、1000万ドルを売りたいという銀行がいたとする。だが、市場には500万ドルを買いたいという銀行しかいない。こうした場合、ブローカーが500万ドルを買いたい銀行をほかに探すか、すでに500万ドルを買いたいと言っている銀行に「もう500万ドル買わないか」と持ち掛け、売買成立を目指す。それゆえブローカーは、顧客である銀行から信頼を得ておく必要があり、自社を取引で使ってもらえるよう営業活動もするのだという。
為替相場は“力勝負”の世界
インターバンク市場の中心で常日頃、相場の現実を目の当たりにする畑氏は「為替相場は“力勝負”の世界。マーケットは人が動かす」と表現する。取引量が多いプレーヤーの売買で動くとき、ほかはただその動きについていくしかない。
相場が大きく動いた時には、その要因として経済指標や要人の発言など、後講釈的にさまざまな説明がなされるが、「プレゼンスのあるディーラーが“何となく売ってみたかった”ということで動いても、市場はそれについていく。確かに今は中国を気にするディーラーは多いが、新聞記事には出てこないような心理的要因もかなり大きい」(畑氏)。
9月末現在、今年のドル円相場の変動幅は10%に満たない。利ザヤを稼ぎたいディーラーにとっては“儲からない年”になっている。「1年間の値幅が10%以内だったことはこれまでにない。感覚的にいえば、世界同時株安の前に言われていた上値1ドル=130円は厳しいが120円は堅い。下値は1ドル=113円を目指す雰囲気もある」と畑氏は分析する。
一見無味乾燥な為替相場の裏では、市場参加者がさまざまな思惑で激しい攻防を繰り広げる。当座は中国経済の動向を注視しつつ、米国の利上げのタイミングを見守る人が多い。今は嵐の前の静けさといった状態だろう。
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