為替ディーラーは円相場の大荒れを予想する ドル円レートを左右する"中国景気"
為替相場は、各国の経済指標や、中央銀行の金融政策に大きく左右される。それらの発表時には値が大きく動くことが多く、ディーラーたちは、経済ニュースの速報を流す「ブルームバーグ」の端末から目が離せない。三菱UFJ信託銀の新人ディーラーたちは、ブルームバーグで発信されるヘッドライン(速報の見出し)を常にチェックし、重要な報道があれば、その瞬間に“叫ぶ”のが役目だ。人が密集した空間において、肉声に勝る伝達手段はない。
日ごろ、輸出入企業などの顧客とやりとりをする同行資金為替部の一口義仁・事業法人営業グループマネ-ジャーは、「最近、お客さんからは中国経済が為替レートにどういった影響を及ぼすか、といった質問が多い」と話す。冒頭のAさんと同様の懸念を、多くの企業が抱えているようだ。
米FRBの利上げがドル円レートにすでに織り込まれている中、中国の不透明感が高まった。これにより「もともとあった円安トレンドが崩れかけている」と一口氏は分析。一方で、FRBのイエレン議長は利上げの年内実施を事実上公約しており、「円高進行の余地も乏しい。ドル円レートはますます1ドル=120円前後で膠着化が進む」という。
銀行間をつなぐのが「ブローカー」
そもそも為替の市場には、株のように専用の取引所がない。銀行や一部の証券会社が互いに電話やネットワークで繋がることで取引が可能になる。これはインターバンク(銀行間取引)市場と呼ばれ、銀行と銀行の間に「ブローカー」が入ることで、取引を円滑にする。
銀行はブローカーと連絡を取り合うか、電子システムで他の銀行と直接取引をする。ここで取引の前線に立つのが銀行の(インターバンク)ディーラーだ。そしてセールスが、市場と、取引をしたい顧客とをつなぐという構図だ。
ブローカーは、実は多くの人が一度はテレビで見たことがある。為替レートの関するニュースに出てくる、6角形のテーブルの周りに人が座り、テーブルの上で紙を投げ、何かを口走っている光景。彼らがブローカーだ。
このうちの1社であるトウキョウフォレックス上田ハーローのドル円為替ブローカー、畑克利氏は「間に入ってうまく取引を成立させるのがブローカーの仕事。お客さんと一緒にマーケットを作っているような感覚だ」と話す。
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