2025年施行のスマホソフトウェア競争促進法、外部ストア・課金解禁でiPhoneのエコシステムはどう変化するか
こうした懸念を見越して、Appleは同社のセキュリティやプライバシーを脅かすと懸念される機能について、EUでの提供を見送る動きを見せている。
その1つが「iPhoneミラーリング」だ。
この機能は、Mac上にiPhoneの画面を呼び出して情報を見たり、操作したりする機能だ。DMAに則って他社からアクセス要求が出され、EUが法的拘束力を持って開放を命じれば、iPhoneミラーリングをMac以外でも利用できるようにしなければならなくなる。
例えば悪意のある操作や画面キャプチャなどを通じて、iPhoneのプライバシー情報が抜き取られるといった懸念が生じることから、アップルはiPhoneミラーリングをEUで提供せず、アクセス要求の対象にならないようにしている。
つまり、EUユーザーはMacでiPhoneを操作できる便利な機能が使えない状態のまま、ということだ。
日本でも同様のことが起きうるが…
スマホ新法が2025年12月に施行されると、日本国内においても、外部ストアや外部課金の許可、OS機能へのアクセス開放が求められるようになる。
もちろん、外部ストアを通じてより自由にアプリを配信したい、ダウンロードしたいという事業者とユーザーのニーズはかなえることができるが、前述のようにAndroidの状況を見ると、1割に満たないユーザーが対象となるだろう。
にもかかわらず、EUで起きていたように、機能開放によってプライバシーやセキュリティの保護が担保できなくなる可能性があるiPhoneの機能は、日本市場で導入されない、などの状況に陥る可能性が生じる。この点は、ユーザーにとっては不利益となってしまうだろう。
ただし、EUのDMAと比較して、日本のスマホ新法で1点、進歩的な条件が加えられている。
それは、サイバーセキュリティの確保、プライバシー情報の保護、青少年の保護、犯罪防止等政令で定める目的に該当する場合、アプリストア開放の例外が認められた点だ。
特に、子どもにスマホを持たせる親からすれば、ペアレンタルコントロールやデジタルウェルビーイングといったOSの機能をすり抜けてアプリが使えてしまう環境の成立は望んでいないだろう。
iPhoneでも春からマイナンバーカードが導入され、スマートフォンのプライバシーやセキュリティをより厳しく確認していかなければならない。他方、競争環境の維持によるユーザーのメリットも引き出していきたい。
ユーザーと事業者が、スマホ新法についての理解を深めつつ、何が最適か、考えていく必要がある。
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