2025年施行のスマホソフトウェア競争促進法、外部ストア・課金解禁でiPhoneのエコシステムはどう変化するか

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App Storeのビジネスモデルはこうだ。アップルが投資して、アプリ開発環境やAPI整備・ストア・アプリ配信サーバ・課金サービス・顧客サポートと、アプリが正常に動作するかをチェックする審査を実施している。無料アプリについては、開発者の負担は年間開発者登録料のみだった。

その代わり、有料アプリやアプリ内課金については、売り上げ年間100万ドル以下の開発者は15%、それ以上は30%の手数料を徴収し、前述のコストを賄いながら利益を上げる仕組みだった。

アップルは毎年の開発者会議で、OSやアプリ開発の最新機能を発表し、アプリの高度化に投資していることをアピールしている(筆者撮影)

しかし外部ストアを許可する場合、アップルは開発環境のコストを回収する手段を失う。そこで、外部ストアや外部決済を利用したい開発者からは「コア技術手数料」を徴収し、ダウンロード数に応じた料金の徴収を行う仕組みへと切り替えた。

そのため、外部ストアを選択する場合、無料アプリであっても、アップルに手数料を支払う必要が出てくる。

また、App Storeでの審査を通さず、iPhoneにアプリをダウンロードできる環境も提供されることから、これまでアップルが許可してこなかったポルノアプリや、親によるダウンロードや課金のコントロールができない環境が成立している。

結果として、ユーザーにとっては、iPhoneに無条件に寄せることができていた安心や信頼は過去のものとなり、プライバシーや子どもの安全などに、より一層ユーザー自身が配慮しなければならなくなった。

MacでiPhoneの画面を操作できるiPhoneミラーリング機能は、EUでは利用できない(写真:アップル)

EUで使えないiPhoneの機能も

DMAへの認知度と関心は高いとは言えないが、ユーザーにとって頭の痛い問題となるのが、最新機能が利用できない点だ。

アップルは、EU域内で提供しているiOS独自のサービスについて、中小・新興企業から開放のリクエストがあった場合、DMAに基づいて審査され、公開の命令が出される。

2025年3月19日に出された命令では、iOSにおいて、スマートウォッチやヘッドフォン、テレビなどのメーカーやアプリ開発者が、iPhoneの機能へのアクセスを改善すること、より高速なデータ通信、より簡単なペアリングを提供することを、法的拘束力を持って決定に従わなければならない。

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