2025年施行のスマホソフトウェア競争促進法、外部ストア・課金解禁でiPhoneのエコシステムはどう変化するか

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スマホ新法の趣旨としては、Google Play、App Storeで9割を占めるアプリストア市場に、中小企業を含めた事業者が参入できるようにすることで、寡占状態に風穴を開けることを目的としている。

後述するが、スマホ新法はあくまで、事業者間の競争環境に着目したルールであって、ユーザーの利害や意向は加味されず決められてきた経緯がある。

実際、アップルと違い、グーグルは同社のアプリストア「Google Play」以外のアプリストアの存在を否定していない。にもかかわらず、多くのAndroidユーザーがGoogle Playを利用することを選択している。

実際、これまで外部ストアを許可して来なかったiPhoneにおいても、同様の動きが生まれることになるだろう。

加えて、外部の課金システムの許可、OS機能に対する広範なアクセスも求められるようになる。

OS機能へのアクセスについてはiPhoneの場合、例えばファイルをその場で送受信できるAirDropや、暗号化されたメッセージがやりとりできるメッセージアプリ、アプリからの通知、同じApple IDでログインしている他のデバイスへのアクセス、Wi-Fiのプロファイルなどが該当するとみられる。

アプリストア課金の解放に加え、OSの機能へのアクセス、デバイス連携の開放も求められる(筆者撮影)

EUのDMAで起きていること

今回のスマホ新法は、EUですでに施行されているDMA(Digital Markets Act)のコピーと考えてよい。DMAは2023年5月2日に施行された、デジタルプラットフォーム事業者に対する規制を行う法律だ。

成立の経緯として、これまでの競争法では「エコシステム」による囲い込みを認定できなくなったこと、個々の事例の調査が長期にわたるといった問題点があった。

そこで、ここの認定が必要ない「ゲートキーパー」と言われるエコシステムの認定を行うDMAの仕組みが成立している。

ゲートキーパーに認定されるのは、オンライン仲介サービス、検索エンジン、SNS、メッセージアプリ、OS、ブラウザ、AIアシスタント、クラウドサービス、広告サービスが含まれる。

これらに認定されると、自己優遇の禁止、バンドリングの禁止、データの適正な利活用とアクセスの確保、広告サービスの透明性などが義務付けられる。

これの施行後、アップルはiPhoneなどのデバイスで、App Store以外の外部ストアと外部決済への対応を、EU地域のみで実施した。

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