「18年の歴史に幕」時速300kmで普通に会話できるグランドツーリングカーを目指し、進化を続けた日産R35型「GT-R」販売終了へ

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2027年モデルのニッサンGT-R
2018年モデルのニッサンGT-R(写真:日産自動車)

GT-Rもポルシェも、一般にスポーツカーと呼ばれるが、正式にはグランドツーリングカーである。フェラーリなどのいわゆる2人乗りスポーツカーと同様の高性能ではあっても、長距離を高速で安全に、それでいて快適に移動できるクルマを“グランドツーリングカー”と呼ぶ。ツーリングカーとは、日常の用途で使うクルマの全般を指し、その頂点といえるグランド(偉大)な存在が、グランドツーリングカーなのだ。

そう定義すれば、「時速300kmで普通に会話ができる」としたR35型ニッサンGT-Rの概念は、まさに的を射た目標といえる。

2024年モデルのニッサンGT-R NISMO Special edition
2024年モデルのニッサンGT-R NISMO Special edition(写真:日産自動車)

2007年に、出たてのニッサンGT-Rをサーキットで運転したとき、興奮はするが我を忘れさせることなく、冷静に操縦性を確認できる的確な手応えを伝えるクルマであることを知った。それはまさに、グランドツーリングカーの究極の姿である。

また、ドイツのアウトバーンでは、日産の実験部ドライバーが実際に時速300kmで走ってみせた。速度無制限といっても、ほかの一般車が走るアウトバーンでは、時速200kmで走り続けることにも神経を使う。いつ、どのクルマが車線を変更してくるかわからないからだ。そうした不確実な交通状況で、テストドライバーといえども時速300kmで走った実績は、筆者がサーキットで味わった確かな手ごたえのなかにある高性能がもたらしたものだろう。

18年の歴史に幕、R36の登場はあるのか

R35としては最終型となる、2025年モデルのニッサンGT-R Premium edition
R35としては最終型となる、2025年モデルのニッサンGT-R Premium edition(写真:日産自動車)

以後、イヤーモデルなど含め、改良が続けられ今日を迎えた。より洗練された乗り味や、さらに上質を極めた内装などの選択肢ももたらしながら、GT-Rに多彩な価値を織り込んできた。

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そして再び、区切りを迎えた。過去、2度にわたり復活を果たしたGT-Rが、再び21世紀の価値を極めるカタチで再登場する可能性はあるだろう。とはいえ、いつ、どのような姿なのかは、知る由もない。それでも、日産自動車にとってGT-Rは欠くことのできない1つの指標を示してきた。

日産がどこへ行くのか? その行く先を暗示させるのは、GT-R復活のときではないだろうか。

御堀 直嗣 モータージャーナリスト

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みほり なおつぐ / Naotsugu Mihori

1955年、東京都生まれ。玉川大学工学部卒業。大学卒業後はレースでも活躍し、その後フリーのモータージャーナリストに。現在、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員を務める。日本EVクラブ副代表としてEVや環境・エネルギー分野に詳しい。趣味は、読書と、週1回の乗馬。

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