「自分は単なる“組織のコマ”…」と感じている人へ、会社という組織を「味方につける」にはコツがある!組織を「チーム」に置き換えると?

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実際には20回に1回ぐらいしかミスは起きないのだけれど、彼は万一に備えて常に全力疾走を怠らずカバーに行っていたわけです。

荒木選手はチームというものを、組織というものを非常によく理解していたということですね。

実は僕ら教員のあいだでも、同じことを心がけるようにしています。

たとえば、トラブルが発生したら、そのことを直接関係がない人も含め、全員にメールで伝達。必要な場合は、教員だけでなく事務方にも連絡を回す。そうすると、誰かが応えてくれるのです。

問題解決のためそれぞれが主体的に役割を果たす

「自分はこの経験があるので、この件はこうやりましょう」「それならみんなでこういう作戦でやりましょう」と。

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このように、即座にトラブル対策チームを結成して、「処理をする人」「手続きをする人」「謝る人」といった役割分担をする。誰のせいだ、何が悪いのと文句を言う前に、それぞれが問題解決のため主体的に役割を果たす。

僕ら教員も──個人プレイに走りがちな人たちばかりに見えますが──そういったことが瞬時にできるチームを常に目指して、大学組織にいるんですよ。

どうでしょう? 

こうして考えてみると、組織のデメリットばかりでなく、メリットも見えてきませんか。「組織」というとガチガチの嫌なイメージしか浮かばないかもしれませんが、「チーム」と考えると、案外居心地がいい場所だと思えてきませんか。

大切なのは、組織を「チーム」と置き換えたときに、自分はどれだけ動けているか、どれだけカバーできているか、ということ。

会社、組織に入ったからには、与えられた役割を果たすのは当然です。そのうえで、ほかにできることはないか、誰かのカバーに回れないか、考えてみる。

組織で働いていると、突然の指示や「朝令暮改」にウンザリすることも多いと思います。そんなときは自分の役割を果たしつつ、同僚と互いにカバーし合う。

そして仕事が一段落したあとで、「まったく困っちゃうよなあ」「勘弁してくれよなあ」と、仲間内で食事でもして、笑い飛ばしてしまえばいいのです。

齋藤 孝 明治大学教授

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さいとう たかし / Takashi Saito

1960年静岡県生まれ。東京大学法学部卒業後、同大大学院教育学研究科博士課程等を経て、明治大学文学部教授。専門は教育学、身体論、コミュニケーション論。ベストセラー著者、文化人として多くのメディアに登場。著書に『声に出して読みたい日本語』(草思社)、『読書力』(岩波書店)、『雑談力が上がる話し方』(ダイヤモンド社)、『質問力』(筑摩書房)、『語彙力こそが教養である』(KADOKAWA)、『読書する人だけがたどり着ける場所』(SBクリエイティブ)ほか多数。著書発行部数は1000万部を超える。

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