10種類の優れた材料が人類の運命を変えた

「文明」の土台を知るために必要なこと

古い紙に、独特の匂いがある理由は?(写真:tarczas / PIXTA)

本を読んでいる時の紙。家で、仕事場で、ショーケースで、どこにでも存在しているガラス窓。口に含むまでは固形物なのに口に入れるとすぐにとろけるチョコレート。構造物の基礎としてあらゆるところに存在している鉄筋コンクリート。身近で日々接しているというのに、あまりにも当たり前に存在しているので、そのすごさや来歴を特段意識したりはしないものだ。

コンクリートとはいったいどのような性質を持っていて、どのような歴史を辿ってここまできたのか理解している人は多くないだろう。ガラスは当たり前のように雨風をしのぎ、それでいて光を通し部屋を明るくしてくれる特質を持っているが、なぜガラスが透明なのか説明できるだろうか。紙が包装紙から切符、紙幣までさまざまな用途に使えるのはなぜなんだろう。

快適な生活が送れるのは、物質が存在するから

上の画像をクリックするとHONZのサイトへジャンプします

本書『人類を変えた素晴らしき10の材料: その内なる宇宙を探険する』はその書名のとおりに、身近に存在している10の材料をメインとして、その性質はどのような化学によって成立しているのか、人類の歴史に現れたのはいつで、どのように発展を遂げてきたのかを解き明かす「材料科学」本だ。その上、最後にはこの先に何が材料に起こるのかまでを示してみせる。

『私たちはみずからを文明化されていると思いたがるが、その文明の大部分は物質的な豊かさのたまものなのだ。』という著者の言葉どおり、われわれの身の回りの快適な生活を実現しているのは材料を「より効果的に使うにはどうしたらいいのか」を試行錯誤してきた先人の歴史の上に成り立っている。当たり前のように存在し使い捨てられるノートだって中国とタメをはれる(中国の歴史は伸び縮みするが)2000年の歴史と技術の粋を集めている。

次ページもっとも身近な、「紙」の場合
ライフの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 新型コロナ、長期戦の混沌
  • 角田陽一郎のMovingStudies
  • ポストコロナのメガ地経学ーパワー・バランス/世界秩序/文明
  • 最新の週刊東洋経済
トレンドライブラリーAD
人気の動画
ウエルシアがイオンと挑む「ドラッグストア飽和」打破の勝算
ウエルシアがイオンと挑む「ドラッグストア飽和」打破の勝算
東芝、会社「3分割」に残る懸念
東芝、会社「3分割」に残る懸念
企業同士の取引で「値上げラッシュ」が起きている
企業同士の取引で「値上げラッシュ」が起きている
百貨店の最終兵器「外商ビジネス」が抱える難題
百貨店の最終兵器「外商ビジネス」が抱える難題
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
「非財務」で生きる会社、死ぬ<br>会社 企業価値の新常識

今や株価を決める最大の要因は「非財務情報」というのが世界の常識に。優れた開示を行えば企業価値の向上につながる一方で、開示が不十分だと株を売られるリスクも。企業価値の新常識をめぐる混乱とその対処法に迫りました。

東洋経済education×ICT