パロ、AIBO、LOVOTも…人を癒やすコミュニケーションロボット再ブームの"真相" アメリカでは《医療ロボ》として活用
パロのギネス認定は、決して偶然ではありません。
アメリカでは「神経学的セラピー用医療機器」の承認を得た初めての医療ロボットとなっており、認知症、発達障害、精神障害、PTSD、脳機能障害、がん患者などを対象として、1台42万円で売り出され、いまや30カ国以上で約5000体が利用されているのです。
パロの医療現場での実用化は、コミュニケーションロボットが話題作りの道具ではなく、実際のビジネス価値、社会的意義を生み出せることを証明しました。
パロの導入効果は目覚ましいものがあります。パロとの触れ合いにより、ストレスも低減され、不安、うつ、痛み、孤独感を改善することが示されています。
特に認知症者の場合には、徘徊、暴力、暴言といった問題行動や昼夜逆転の生活スタイルを抑制・緩和することも確認されているのです。
患者本人への効果はもちろんのこと、これらの効果は介護者の負担を軽減することにもつながります。ロボットを用いた治療は、副作用がない「非薬物療法」としてまったく新しい医療福祉サービスのかたちなのです。
第2次ロボットブームの光と影
2000年頃は第2次ロボットブームともいわれ、パロに限らず、多くのコミュニケーションロボットが登場しました。
1999年に発売されたソニーの「AIBO」など、日本は常にこの分野をリードしてきたともいえるでしょう。
初代AIBOは1999年に25万円という価格で発売され、当時としては画期的な自律型ロボットとして注目を集めました。パロが医療・介護系の施設に積極的に事業展開されたのに対して、AIBOはコミュニケーションロボットの個人利用の扉を切り拓いた存在ともいえます。
しかし、ソニー自体の経営悪化もあり、ロボット開発は中核事業ではなかったため、2006年には一度生産終了となりました。発売から7年での販売台数は15万台ともいわれています。
AIBOの歴史は、コミュニケーションロボット市場におけるビジネスの可能性と持続性の難しさも物語っています。
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