20年足らずで4分の1にまで店舗数が減少した「ネカフェ」。減少の一途のなか、「しぶとく生き残る」快活CLUBは一体どう凄いのか
高単価な深夜料金(ナイトパック)を得るための24時間営業店が増加するとともに、住居をなくした人々がホテル代わりに利用する「ネカフェ難民」が増加、さらに犯罪者(指名手配犯)の隠れ家に利用されるなどの事態も。業態が違うものの、2008年には大阪の個室ビデオ店火災もあり、「おひとりさま空間」ビジネスの安全性が疑問視されてきた。
ゆるやかな低落傾向に追い打ちをかけたのが、「スマートフォンの普及」だ。2008年からiPhoneとソフトバンクの積極的なキャンペーンから普及が始まり、2011年には出荷台数で50%を突破。「ネカフェに行かなくてもネットもゲームもできる」「ネカフェは安全面で不安」となると、業態の成長が鈍化、経営が苦しい店舗の「第1の淘汰」が起きてしまうのは当然の成り行きであった。
なお、筆者が各地でインターネットカフェの利用を始めた2002年頃には、サイフを置いてトイレに行けない独特な雰囲気の店舗が相当数あったことを思い出す。日本複合カフェ協会は「身分証の提示による会員証の提示」「不正アクセスへの対応」「非常時の対応」などガイドラインの頻繁な改正で対応、自浄作用で一定の改善はできた。
第2の淘汰は「チェーン店の競争」

インターネットカフェ業態を襲った第2の淘汰は「チェーン店同士の競争」だ。顧客の嗜好は「いるだけでいい」から「安全・快適に過ごしたい」に変わり、サービス合戦による顧客獲得と、全国制覇を目指すチェーンの多店舗展開が、いよいよ始まった。
「複合カフェ」黎明期から営業していたのは、「自遊空間」「コミック・バスター」「メディアカフェポパイ」「アプレシオ(I LOVE 遊)」(2000年)など、これに加えて、他業種から「ワイプ」(モンテローザ系列)、「知・好・楽」(ナムコ系列)、そして2003年参入の「快活CLUB」などの後発参入が相次ぐ。首都圏の主要な駅前では早々に競争が激化し、宣伝カーやティッシュ配りをよく見かけるようになってきた。
一方で地方では「フリークス」(北陸3県)、「フタバアットカフェ」(広島県)、「ファンキータイム」(四国4県)のように、本拠地のドミナント(集中出店)戦略で地盤を固める強豪チェーンも登場。過度な割引やサービス合戦を伴う競争が続き、各社とも東京制覇・全国制覇を成し遂げられないまま、業態としての店舗数は減少に転じた。
ただ、チェーン店の隆盛とともに、サービス面を強化していなかった小規模チェーン・個人店は、みるみる脱落していった。こういった店舗は問題も多く、例えば「体をL字型に曲げ、脚を垂直に上げないと眠れないほどにブースが極小」だったり、店員がマンガを読みふけって出てこなかったり、冷水かぬるい水しか出ない「シャワー完備」だったり、カレーを頼むと「カレー色の水かけごはん」状態の何かが出てきたり……パンチが利いた特徴を持つ店舗は、次の訪問時にはだいたい消えていたものだ。

その中で、快活CLUBは早くから他チェーンより高価格帯を貫き、親会社・AOKIが紳士服店としてのノウハウを持ち込んだことで接客・クレンリネス(衛生管理)で一定のレベルを保つことができた。
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