20年足らずで4分の1にまで店舗数が減少した「ネカフェ」。減少の一途のなか、「しぶとく生き残る」快活CLUBは一体どう凄いのか

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もちろん各チェーンともサービス向上・単価アップの重要さは重々承知していたものの、各社はレンタルビデオ店などからの転換が多く、低単価から抜け出すほどのノウハウを持っていなかったのかもしれない。なお、筆者が快活CLUBをはじめて利用したのは2009年、富山県のこと。ピシッと制服を着こなした店員さんに丁寧にあいさつされ、「ここ本当にネカフェか?」と、逆にうろたえた記憶がある。(本当に、それだけで驚くような世界だった!)

快活CLUBはグループ内でも、カラオケ「コート・ダジュール」、ブライダル事業の売上を相次いで抜き、決算説明会の資料でも、ことさらしっかり紹介されるようになる。

3の淘汰は「コロナ禍」 快活はなぜ生き残れた?

(写真:Ryuji/PIXTA)

そして2020年、コロナ禍によってインターネットカフェは「第3の淘汰」に巻き込まれた。

メインの客層であるサラリーマンは在宅勤務となり、終電を逃すような呑み方をする人も消えた。店舗としても、特に都心部・駅前立地の店舗は営業すらできず、2020年にはインターネットカフェの運営を行う事業者(親会社)が10社も破産してしまう。

その中には、一時期は全国制覇が見えていた「メディアカフェポパイ」の運営幹事会社(広島市「カキタ」「サンコー」)も含まれていた。前年から閉店続きだったとはいえ、大規模な一斉閉店は、コロナ禍による“ネカフェ”業界縮小の象徴のようにとられた(ただし、「ポパイ」は現在も一部店舗が独自運営で存続している)。

快活CLUBはこのタイミングで、2017年から導入していた「鍵付完全個室」を、ブースに代わって「三密」を回避する席としてアピール。従来のインターネットカフェの客層に加えて、自社を「シェアリングスペース業態」としてビジネス需要の獲得に乗り出した。

快活CLUBは全店が直営店とあって、経営判断のスピードも速い。レシートにも「シェアリングスペース」と入れ、娯楽をアピールするキャッチフレーズ「リラックスコンビニ」(昔はドリンクバーのコップにまでプリントされていた)も使わなくなるなど、かなり振り切った方針転換で危機を脱出できた。

快活CLUB
快活CLUBのセルフレジ(筆者撮影)

また、快活CLUBはコロナ不況の中で、グループ・親会社の規模にも助けられた感がある。チェーン店の中には、本業がさらに不振で救済されなかったケース(広島県「フタバアットカフェ」&親会社の「フタバ図書」(書店)など)も多い中、AOKIホールディングスはもともとの企業体力に加えて1年で赤字から回復しており、「会員登録セルフ化のノウハウごと他の事業者(自遊空間)子会社化」という大胆なM&Aで、コストカットに成功した。

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