フジテレビが「ウォーキング・デッド原作集団」と手を組み、寛一郎と三浦透子が主役のSFドラマを制作も、なにかが物足りない

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ウミンはヴァリアントでありながら政府のスパイとして活動する、訳あり過去を持つ人物。佇まいだけで魅せる寛一郎の姿は佐藤浩市を父に、三國連太郎を祖父に持つ究極のサラブレッド感を隠しきれていません。登場シーンからキャラクター作りに期待が膨らみます。

佐藤浩市を父に、三國連太郎を祖父に持つ究極のサラブレッド感がある寛一郎がキャラクター作りで魅せる(画像:©2024 Fuji Television Network, Inc. Skybound, LLC All rights reserved)

一方、エマはインフルエンサーユニット“L”のメンバーとして、「MAKUMA」という動画配信プラットフォームでヴァリアントの自由と権利を求めて動画を配信する日々を過ごしています。快活で人望が厚く、大モテのザ・ヒロインキャラです。カンヌ国際映画祭で脚本賞を受賞した映画『ドライブ・マイ・カー』では寡黙なドライバー、直近ではバカリズム脚本ドラマ『ホットスポット』最終話のわずかな登場シーンで独特な役どころを掴む三浦は癖のある人物像を演じるイメージが強い分、本作の演技は新鮮でもあります。

快活で人望が厚く、大モテのザ・ヒロインキャラが新鮮な三浦透子(画像:©2024 Fuji Television Network, Inc. Skybound, LLC All rights reserved)

寛一郎と三浦の相性も良く、微々たる特殊能力しかなかった2人が偶然、手を触れ合ってから進んでいくストーリーの中で甘酸っぱさを程よく醸し出しています。だからこそ、わざとらしさが否めない話の展開そのものがもったいないと思ってしまいます。

骨太に描けば、印象が変わったアメリカ原作

冒頭こそ、勢いはあります。宙に浮くピエール瀧が一瞬だけ登場して驚かせ、奈落の世界観を表現した“ルック”やところどころスケール感の大きさを感じさせます。村上淳や三浦誠己、西田尚美、岸谷五朗の大人たちの役どころはわかりやすく、味もあります。

ただ、全8話を捉えると、全体的に既視感のある展開です。細かく言えば、アメリカが発端の人種差別抗議運動「ブラック・ライブズ・マター」のネーミングをそのまま真似た抗議シーンなど日本が舞台である以上、違和感もあります。本来は肝となる抑圧や権力との闘いの描写がフワフワとしているのです。たとえ展開が読めても、その部分を骨太に描くことで印象が変わった気がします。

原作は「ウォーキング・デッド」を手がけたアメリカのスカイバウンドのコミック。実写化するにあたりフジテレビと国際共同制作ドラマとして作られた(画像:©2024 Fuji Television Network, Inc. Skybound, LLC All rights reserved)
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