「大卒って意味あるの?」「大卒は就職で本当に有利?」 大学に "誰でも進学できる時代"に突入 キャリア形成から考えた就活のあり方

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しかも、当社サービスを利用する転職希望者たちを見ると、4年間通った大学時代に自身のキャリアについて考えがまとまっている人は稀だ。就職して初めて「働くということ」「世の中にどんな仕事やキャリアがあるのか」を知る場合がほとんどだ。

このような状況を見たとき、筆者がつねづね疑問に感じているのは「少子化のこの時代、高いコストを払ってまで『大卒資格』を取ることにどれほどの価値があるのだろうか」ということだ。

大学に進学したときに必要な学費は、私立大学だと年間約130万円、国立大学でも年間約60万円とされる。入学金や一人暮らしの生活費などを含めると、4年間で必要な金額は私立大学で980万円、国立大学でも710万円という調査結果もある。

誤解を恐れずにいうと、「その大学に行く(専攻分野を学ぶ)明確な目的がないなら、4年間も高額の学費を払いながらただ在籍するより、一度『社会人学校』に行くつもりで就職したほうがいい」というのが筆者の持論だ。人材不足にあえぐ企業の実情と、新卒就職でつまずく若者たちが多い現状を合わせて考えたとき、それは時代に合った1つの解決策だと思っている。

実際に社会に出て、給料をもらいながら仕事のスキルや知識を4年間積み上げ、大学卒業の年齢である22歳の時点で「自分に本当に合うキャリア」を見つめ直す。こうしたプロセスのほうが、若者たちがより高い解像度で自身のキャリアについて方針を決めることができ、全体の労働力や人材力の底上げにつながるのではないかと思う。

転職しやすい時代にあったキャリア形成を

わが子の大学進学について親世代の声として時々耳にするのが「自分たちは大学に行って4年間遊んでいたのに、子どもが高卒で就職したらかわいそう」ということ。

ただ、時代はどんどん変化している。人生100年時代と言われ始めたころから、社会人として人生経験を積んだ後のリスキリングの重要性も認識され始めた。だから、モラトリアムのような時間を持つことも「社会に出る前」だけに限らず、いつでも必要だと感じたタイミングで「休憩期間」を設けて、キャリアを仕切り直せばいいのだ。

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