「大卒って意味あるの?」「大卒は就職で本当に有利?」 大学に "誰でも進学できる時代"に突入 キャリア形成から考えた就活のあり方

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このように、近年大学進学率が伸びているのは、少子化で大学入試のハードルがかなり下がったことが一因なのは間違いないだろう。少子化で18歳人口がこれだけ減っているにもかかわらず、受け入れ先となる日本の大学数は増えているのだ。

2024年の大学数(大学院大学含む)は過去最多の813校。実際、私立大学の6割が定員割れとなったことが話題になったが、実態として「受ければ合格する」ような大学が増えているため、進学率も伸びているとみていいだろう。

「高コスト」を払ってまで行くメリットはあるのか?

少子化時代のキャリア形成という観点からこの現状を見てみよう。

大学進学のメリットとして一般的に言われることは、「大卒のほうが就職に有利だから」という点がある。それを前提として「社会人になったら自由な時間がないのだから、好きなことをして過ごせる期間があってもいい」と考えて、子どもの大学進学を後押しする保護者も少なくない印象だ。

筆者は、採用企業のリアルな状況を目にする立場だからハッキリと感じるのだが、「大卒資格がないと就職が不利になる」という時代はすでに終わっている。※「大学に行くことが不利になる」ということではなく、「大学に行くコストが、その後の就職優位性に見合うか?」という点での意見だ。

その理由の1つが、やはり「誰でも大学に行く時代になっている」という現状にある。仕事ができる人材を求めている採用企業からすれば、大卒資格があっても、学力や能力の証明にならない。「ブランド大学以外は、それだけでプラス材料にはならない」というのが本音なのだ。最近では大学ではなく「高校の偏差値」を見ている企業も増えている(大卒人材に対しても同様だ)。

「何ができるのか?」「どんな経験があるのか?」「地頭はいいのか?」。企業が知りたいのはその部分。しかも深刻な人材不足は企業側にとって死活問題となっており、高校新卒者の採用にも積極的になってきている。2024年3月卒の高卒者求人倍率は3.98倍で過去最高を更新した。

企業が新卒者を「金の卵」として扱うのは、人件費も安く、採用から育成までをひとまとまりにできてコスパが良いからだ。「新卒であれば高卒でも大卒でもどちらでもいい。能力に大差はなく、教育コストも変わらないから」という声を企業の人事担当者から聞くことが、近年多くなってきた。

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