「学校復帰」を目指す不登校支援はもう古い? N高人気にみる「学校に通わない」という選択肢。「不登校=年30日以上欠席」という前提を問い直す

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1週間の時間割は自分でつくることができ、先生は児童生徒の興味にそって伴走するスタイルです。オンラインでの参加も可能です。SCHOOL“S”で学習した内容は、子どもたちが所属している小・中学校に共有され、その情報をもとに各校の校長が「出席日数」としてカウントできる仕組みとなっています。

学校に通いづらさを感じている子どもにとって、このような多様な学び方を出席日数として認められる制度は、大きな救いになるでしょう。各種体験授業も充実しているこの施設の取り組みは、子どもや保護者から高い人気を得ているといいます。

東京都においても、都立の中高一貫校で学びの多様化学校(いわゆる不登校特例校)をモデルとしてつくり、自由な学び場のフラッグシップにするのはどうでしょうか。学びの多様化学校とは、不登校の児童生徒に配慮した学校のことで、授業形式やクラス編成を柔軟に組むことができます。都は、旧来の支援の枠組みに囚われず、新たな学び場の開発に意欲的に取り組むべきです。

多様な学び方を社会的にも認める未来へ

より大局的な視点からいうと、不登校という問題の根本的な解決には、学校という概念の解体と再構築が必要だと思います。

不登校は「年間欠席が30日以上」と定義されていますが、これは裏を返せば、休まず学校に通うことが学校教育の前提になっていることを意味します。しかし、そもそも教育の本質は、学校に通っているか否かではなく、その子が学びにアクセスできているかどうかです。

例えば学校に毎日通って教室で30人揃って授業を受けることと、オンラインで個別に授業を受けること、あるいは自分の好きな場所に行って学ぶことが制度上同列の選択肢となったとき、そこでは「不登校」という概念自体が消えます。これからの教育は、そうした多様な学び方を社会的にも認める未来に向かって再構築されていくべきではないでしょうか。

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