【EUが国防費増でも潤うのは米国の防衛産業?】米国と分断深める欧州NATOの「揃わぬ足並み」。欧州にとって米国の背中はこれほど遠い
アメリカと欧州の経済力格差
冷戦の終結以降、アメリカと同様に欧州でも防衛産業の集約が進んだ。それでも規模ではアメリカにかなわない。
集約化の大きな流れに、欧州各国・各企業も抗うことは難しい。ところが欧州の各企業は、同じNATO加盟国とはいえ国境で細分化された国情とともにあった。したがって欧州の防衛産業には、アメリカの防衛産業とは異なる、風情とも呼ぶべきものが感じられる。
「NATO」と一括りで言っても、アメリカの存在は大きい。欧州NATOの国防支出を合計しても、アメリカの3分の1に満たない。これはそのまま、防衛産業の規模の格差に繫がる。
表1‐5の大手防衛関連企業の売上高でも、欧州NATOの合計額はやはりアメリカの4割程度である。一方でアメリカは41社であるのに対して、欧州NATOは26社となっている。つまり平均すると、欧州の1社当たりの売り上げはアメリカの約6割だ。同じNATOといっても、欧州にとってアメリカの背中はこれ程遠いものとなっている。


















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