英語が苦手な人が意識すべき「仮定法」の考え方 助動詞との共通点を意識すれば仮定法は怖くない
仮定法で、助動詞の過去形が使われている背景を理解することが重要です。それができていないと、うまくアウトプットできないばかりか、長い文章で次のような文に出くわしたとき、仮定法のにおいを瞬時にかぎ分けることが難しいと思います。
「誠実な政治家ならば約束を破らないだろう」
→最近は性差をなくすため、his/herではなくtheirを使うことも多い
例文では、主語に「~ならば」という意味が込められています。他には不定詞や前置詞などに「~ならば」の意味が込められることもあり、ひとつひとつ丸暗記するのは大変です。
仮定法と助動詞がなぜ結びついたのか? その背景や理由を知ることで、理解を深める必要があります。
助動詞と仮定法の共通点
歴史的に見て、助動詞の発達と現代英語の仮定法の成立には、つながりがあります。両者の結びつきは偶然ではありません。意味の根幹に目を向ければ、その結びつきが必然であることがわかります。
助動詞の根幹は「話者の主観」です。たとえば「推量」は、will「~だろう」、may「~かもしれない」、can「~でありうる」など、全て話者の頭の中の出来事です。
一方、仮定法の根幹も「話者の主観」です。仮定法は「もし~なら、……なのに」と、「現実に反するありえない話」を表現するものです。「現実に反するありえない話」は、話者の主観的な仮定です。例えば、「もし彼がいれば、手伝ってくれるだろうに」は、話者の頭の中の出来事です。客観的な現実ではないのです。

昔の英語では、動詞を複雑に変化させることで仮定法を表現していました。仮定法専用の動詞の活用が存在していたのです。しかし、大まかにいって、言語は単純化する方向に変化します。その結果、仮定法の動詞の複雑な変化が消え、動詞の過去形と同じ形をとるようになりました。その過程の中で、助動詞の過去形が仮定法と結びついたのです。過去形が使用されたのは、「過去形=現実からの距離」を表現するためだと考えられます。現代英語の仮定法は、助動詞の過去形を使うだけなので、非常にシンプルです。
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