カヤックが「変な制度」を作り続けるワケ 「面白法人」のワーク・ルールズ<前編>

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──自分の実力もつけるのですか? たとえば、自分を1位にしたりとか?

柴田:もちろん、できます。ただ、自分がつけたランキングとみんながつけたランキングの差があって、結局、これがどっちが上かで、自分を過大評価したか過小評価しているかがわかるようになっています。それは人事面談のときの参考情報にもなっています。

三好:給料の平等性をどうとらえるかの問題でしょう。文言化してチェックしてランキングにするのが普通の等級制度ですが、そうしないで、一緒にやっている人たちを相対的にとらえるというのが、ひとつの平等のとらえ方ですから。僕らの場合は、主観で相対的にとらえますね。

制度はあるけど、ルールはない

──働き方のルールみたいなものはありますか?

柴田:特に規則というわけではないのですが、1カ所に集まってやろう、というのはありますね。

松原:こういう業界ではありますが、在宅は推奨されていません。やっぱり顔を突き合わせてコミュニケーションをとるのが重要だから、できるだけひとつの場所で働くようになっています。

柴田:「旅する支社」という制度があります、20人とか30人のチームで、数週間場所を変えて仕事をします。海外で臨時オフィスを借りてするのです。これは、ひとりでやるのはカヤック的には違うという発想からです。

松原:カヤックの場合は、ルールがないというのがルールなのかな。

三好:これはダメというのはありますが、こうしろというのは、ほとんどありませんね。

柴田:暗黙知になっているところもありますね。たとえば、短パンを履いてお客さまのところに行ったら失礼にあたるときに、「短パンを履くな」というルールを作るのは違っていて、その人に「短パンを履いていくな!」と言えばいいでしょうと、以前に柳澤さんが話していました。確かに、何でもルールにしなくてもよいのでしょう。

──ルールを守ってもらうみたいな感じではないのですね。

柴田:管理部門は基本的にルールを作ったりする部署ですが、個別対応をせよ、とすごく言われます。産休とか育休なども、基本はこういうものがありますが、個別に話してルールを決めましょう、となっています。

──制度はあるけれど、ルール、規則はないということですね。人の育て方で独特なものがあったりしますか?

柴田:基本は勝手に育つものと思っています。あえて言えば、職能とかの領域を横断して、エンジニアの人がデザイナーのスキルを身に付けて職種チェンジをしてもよかったりします。クリエーターとしては、2つのハイブリッドのほうが面白いですよね。もっとも、会社としては管理しにくくなりますが、そこに関してはかなり許容しています。

三好:たとえば、カヤックでの仕事とは別に個人的に作ったものとか、個人的に興味あることを発表したりする「つくっていいとも」などは、現場側から出た仕組みです。こういうのが現場側から出るときに、管理部門が止めないようにするということは気にしています。現場のクリエーターから出てきたものがいいかどうかは、やってみないと判断できないので、まずはやってみてくださいと。面白いものを作りたいと思う気持ちが先ですから。

(後編はこちら

砂流 恵介 ライター

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すながれ けいすけ / Sunagare Keisuke

1983年広島県生まれ。秋葉原のPCショップ販売員を経て、日本エイサーにて宣伝・広報を担当。2014年1月に独立。手段を選ばないゲリラ的なPRを得意とする。アメリカザリガニ平井のゲーム実況番組「スーパーピコピコクラブ」のメインMC、元JUDY AND MARYのTAKUYAが中心になって結成した「商店街バンド」の広報、攻殻機動隊REALIZE PROJECT編集長のほか、各種ネットメディアでの記事を執筆している。

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