360度評価が文化と人をつくる
柴田:研修のコンサル会社の人と話していたのですが、教育はできる人の何かを移転するものもあれば、自分で気づくものもある。カヤックはそもそも「自分のオリジナリティを伸ばせ」という発想だから、できる人が教えるというスタイルがそもそも成立しません。だって、この人と違うふうになれということだから。「お前は面白いものを作れるのか?」と問われ続けて、自分の中で成長していきますから。
三好:体系化しないんですよね。永遠に超えられない問いというのに近くて。今、芸人さんの育成システムをまねしたいなと思っています。芸人さんの面白さって、決めるのはお客さんですよね。
NSC(吉本総合芸能学院)では、生徒は先生とほかの生徒の前でネタを披露する。どんどん「はい、次」って言われて、面白かったのか、どうやったら面白くなるのかは自分たちで考えないといけない。その後、劇場でお客さんの前でやるときも、お客さんが笑いはするけど、はたしてそのまま行けるかどうかは己の考え方次第。たとえランキングで1位になったとしても、その舞台では面白かったかもしれないけど、テレビに出たら全然、面白くないという可能性もある。そんな話を伺ったことがあります。
結局のところは、自分が面白いかどうかを延々と問われ続ける場にいて、それに対して笑いというフィードバックが来るんだと思っています。「自分は今、面白いものが作れているのかな?」みたいな問いかけをされ続けるような制度が、いちばんカヤックらしいと思います。
そういうことを考えて、最近、360度評価の質問を変えてみました。今までは、「自信作を3つ挙げてください」でしたが、「この半期で自分が自信がある作品をひとつ挙げてください」と、「いちばん利益に貢献したと思う作品を挙げてください」にしました。その質問内容で半年に1回、自分を振り返ることになるので、結局、これが人をつくるし、文化をつくるのです。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら