カヤックが「変な制度」を作り続けるワケ 「面白法人」のワーク・ルールズ<前編>

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──そう考えると、この合宿はすごいですね。でも、普通は何か元を取ろうなどと思いますが。

「ぜんいん社長合宿」の様子

柴田:もうちょっと有効利用しようとするのが普通だと思いますが、元を取ろうとは本気で考えていません。それでも、「ぜんいん人事部化計画」や「スマイル給」など、ここから生まれている制度も多かったりします。これは出そうと思って出しているわけではなく、偶然です。ほかの会社でも、合宿の機会はあるでしょうが、おそらくそれは商品開発のためとか、経営理念を考え直す場みたいになるでしょう。カヤックはブレストだけですから。

この「ぜんいん社長合宿」の価値は、継続にあります。ボディブローのように効いてくる施策だから、ずっとやっていることに意味がある。やめても意外とすぐには何もなくならないでしょうが、長期的にはけっこう効いてきそうですね。

面白い人事制度は本当に必要なのか?

──そういえば、経営理念は何でしたっけ?

柴田:現在は「つくる人を増やす」です。

──これいいですよね。この『ワーク・ルールズ!』の本にも書いてありましたが、達成できないというか、永遠に追い続けるものという理念やミッションは、いいと思います。グーグルが目指すのは、情報の整理なので、終わりがない。そういう意味で言うと、カヤックはそれなのかなと思いました。

三好:経営理念以外にも「何をするかより誰とするか」と「面白法人」というキーワードも、理念に近いくらい大切にしています。確かに、どれも永遠に答えがないというか、追い続けていくものなのかなと思います。

──御社は受託でのお仕事も多いと思います。そういう会社にユニークな人事制度とか面白いものが必要なのか、と思ってしまいますが、実際のところはどうなのでしょうか。

松原:カヤックの今の仕事は、オリジナルコンテンツと受託と半々ぐらい。ただ、両者は提供の仕方が違うだけで、面白い技術や企画で、新しいコンテンツをマーケットに出すことが事業だと思っています。ですので、クリエーターが面白いものを作り続けられる環境というのがいちばん重要です。そう考えると、面白い制度とか人事のあり方が大切になってきます。

柴田:でも、利益を出すために面白い制度が必要なのかと言われたら、別に必要でないし、面白法人として面白がついているからやりますが、ほかの方法はいくらでもあるとは思います。

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