伝説の店主が「子どもに無料でラーメン」出す理由 高山ラーメンの老舗「豆天狗」2代目が抱く大志

✎ 1〜 ✎ 86 ✎ 87 ✎ 88 ✎ 89
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

一方で、高山はコロナ後から観光客が一気に増え、特需ともいえる状況になっていた。鎌倉や京都と同じく、歴史のある街並みの残る高山は特に外国人観光客に大人気だった。新しいラーメン店も一気に増え、伝統の高山ラーメンとはまた違う時代の流れが来ていた。 

その中で冨田さんは、もう一度地元でラーメン屋を開くことを決意する。場所は妻・佐登子さんの実家があった場所。ここをリノベーションすることで、家賃などの負担なくお店を開くことができたのだ。 

「今の高山の若い世代の子たちは高山ラーメンには見向きもしないと思います。今となっては当然、東京のお店が旨かったとか、太いつけ麺が旨いなとか、もうそうなっています。 

今、高山で地元の老舗が若い世代に愛されるなんてのは相当旨くないと難しい。だからこそ、若い世代に旨い高山中華そばがあるんだぞということを示したいなと思ってオープンしたんです」(冨田さん) 

調理中の冨田さん。惚れ惚れとする、熟練の所作だ(筆者撮影)

麺量は100gと少なめなお店が多い中、自家製麺で麺量を多くし、スープも伝統の高山ラーメンの製法で濃いめのスープに仕上げた。スープで煮込んだ柔らかなチャーシューに、地元の飛騨ネギをパパッと散らせて美味しい一杯に仕上げた。 

こうして「ナカヤマ荘」はオープンした。「ナカヤマ」は妻・佐登子さんの旧姓である。

「高山にいたら、『この煮込みの中華そばって旨いな』『地元のラーメンって旨いね』ってことを知ってほしい。

それにはやっぱりちゃんと煮込んだチャーシューに、乾燥メンマをちゃんと戻して作った良い食感のメンマ、そしてネギは飛騨ネギ、麺も細い縮れ麺だけどちゃんとそれなりに量があって満足できることが大事かなと」(冨田さん)  

店内の様子はこんな感じ(筆者撮影)
次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事