「更年期の体重増加」医療を使って対抗する方法 「50歳を超えての減量」は大きな意味がある

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GLP1作動薬は、世に言われる「ダイエット薬」の中で最も有効であるとされている。もともとは糖尿病治療薬として開発されたが、食欲が減ることで体重が減少する効果が注目され、いまやダイエット薬としての効果のほうが有名だ。

アメリカのメイヨークリニックが実施した更年期女性を対象とした研究では、オゼンピック(セマグルチドの注射薬)0.25mg〜1mg/週という糖尿病治療に用いられる量を用いることで、1年間で58.1%の人が10%以上の体重減少に成功し、さらにホルモン(エストロゲン)補充療法を併用した場合はその率が85.7%と高率であったことが報告されている。

肥満は心血管病だけでなくがんの原因となる。国際がん研究機関(IARC)では、乳がん、大腸がん、食道がん、腎臓がん、胆嚢がん、子宮体がん、すい臓がん、肝臓がんなどを肥満関連で増加するがんと報告している。肥満を治療することでこれらのがんを予防できることがアメリカのケースウェスタンリザーブ大学から研究報告されている、50歳を超えた「がん年齢」の人にとっては、減量は容姿を整える目的だけでなく、大きな意味のあることなのだ。

「女性は医療を受けにくい」を何とかしたい

女性は男性に比べ、いわゆる内勤の仕事が多く、時間的に拘束される。また仕事の後も育児や家事に追われて、医療機関を定期的に受診することが難しい。また、婦人科医にとっては、更年期症状の診療は多角的な知識とカウンセリング能力が要求される割に診療報酬が低く、敬遠されがちだ。よって、更年期症状や、ホルモン補充療法、ダイエット治療を継続的に受けることが困難だ。

私は女性が医療につながりにくいことを問題視し、2008年に夜遅くまで診療するクリニックを駅前に開設した。いまは立川駅前の立川髙島屋S.C.に場を移して診療を続けている。

高級デパートとの印象を受けるかもしれないが、立川髙島屋S.C.は便利なスーパーや品揃え豊富な本屋などのテナントで構成されており、地域の方々に広く利用されるショッピングセンターだ。夜8時まで診療し、オンライン診療にも対応している。このような使い勝手の良いクリニックが増えることも、女性の健康を支えるうえで大切なことだ。

ここで紹介したような内容をぜひ知っていただき、多くの更年期女性が充実したウェルビーイングを実現されることを願う。

久住 英二 立川パークスクリニック院長

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くすみ えいじ / Eiji Kusumi

1999年新潟大学医学部卒業。内科専門医、血液専門医であり、旅行医学やワクチンに関する造詣が深い。国家公務員共済組合連合会虎の門病院で内科研修ののち、臍帯血移植など血液がんの治療に従事。血液内科医としての経験から感染症やワクチンにも詳しく、常に最新情報を集め、海外での感染症にも詳しい。2024年12月に立川高島屋SC10階に内科、小児科、皮膚科の複合クリニック「立川パークスクリニック」を開業した。

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