「更年期の体重増加」医療を使って対抗する方法 「50歳を超えての減量」は大きな意味がある

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更年期のポピュラーな症状は、ホットフラッシュ(のぼせ・ほてり)が有名だ。急に体が熱くなったり、顔がほてったり、大量の発汗が起きたりする。動悸、めまい、耳鳴りも頻繁に見られる症状で、自律神経の乱れに伴い、交感神経と副交感神経のバランスが崩れることで生じる。不眠・睡眠障害や、抑うつ症状、焦燥感など精神の不安定な状態も生じやすくなる。

これには精神を安定させる働きのある薬剤や、同様の効果がある漢方薬で軽減できる。ホットフラッシュには加味逍遙散、桂枝茯苓丸など効果のある漢方薬がある。エストロゲンの減少は膣粘膜のうるおいも減少させ、膣萎縮や性交痛が起こることがある。女性ホルモンを補充する治療をおこなうことで、これらの変化をゆっくりにすることができる。

また、更年期以降は心筋梗塞など循環器や血管の病気が起きやすくなる。エストロゲンには血管を拡張させ、動脈硬化の進行を抑える働きがある。また、エストロゲンはLDL(悪玉)コレステロールを下げ、HDL(善玉)コレステロールを上げる作用があるが、更年期にはそのメリットが失われ、脂質異常症(高脂血症)のリスクが高まる。

血糖に関しても、更年期ではインスリン抵抗性(インスリンの効きが悪くなること)が高まり、2型糖尿病のリスクが上昇する。血管の柔軟性を保つのに有効なストレッチや筋トレのほか、有酸素運動でエネルギー消費量を増やすことを心がけたい。

有酸素運動は週に3回ほど、1回30分で、ジョギングならば1キロを8分かけるゆっくりしたペースが良い。これは、一緒に走る人と会話ができる程度のスピードだ。また、運動は週1回、10分おこなうだけでも効果がある。気軽に取り組んでもらいたい。LDLコレステロールの数値が高い人は、医師を受診してコレステロールを下げる薬を服用することも血管のアンチエイジングには有効だ。

肥満は更年期女性の敵

肥満は、ボディイメージに起因する自己肯定感の低下などを通じて抑うつ症状のリスク因子となることが知られている。一方、抑うつ状態になると食欲コントロールが乱れ、体重が増加する(または激減する)などの双方向の関係がある。肥満になると運動するのが億劫になり、さらにエネルギー消費量が減る悪循環が起きる。食べてしまった罪悪感がストレスとなり、さらに食べてしまう、というエピソードもしばしば耳にする。

厚生労働省が発表しているメタボ健診の結果からもわかるように、半年かけて食事や運動の指導を受けても、減らせる体重は1キロほどでしかない。それくらい、自力で体重をコントロールするのは難しいことなのだ。

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